国連責任投資原則(PRI)は10月24日、社会の所得格差を是正するため、署名機関に対し、所得格差拡大じよる投資リスクと是正に向けた機関投資家の推奨アクションを整理したレポートを発表した。数あるESGファクターの中でも。所得格差是正は最も賛否が分かれると言っても過言ではない分野。所得格差は、機関投資家自身にとってもセンシティブな問題となるため、PRIは思い切ったレポートを出したと言える。今回のレポートの冒頭では、PRI理事を務める水野弘道・年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)理事兼CIOがコメントを寄せ、所得格差リスクへの認知向上を呼びかけた。
PRIは今回、所得格差拡大がもたらす悪影響として、、「金融システムや社会システムの不安定化」「経済成長の低下」「ポピュリズム、過激主義、孤立主義、保護主義の盛り上がり」を挙げ、投資リスクになるとの考えを提示。具体的に注視すべきものとして、長期投資パフォーマンスへの悪影響、投資リスクと機会の変動、機関投資家の事業地における金融・社会システムの不安定化の3つを掲げた。
同レポートは、機関投資家に推奨されるアクション分野として、投資先企業に対し、「労使関係と労働市場の構造」「税方針」「CEO報酬水準」の3テーマの情報開示を求めることを要請。とりわけ、企業データ取得、エンゲージメント・アクション、分析フレームワークの整備、公共政策への関与の4つについて、現状のイニシアチブ等の整理、推奨アクションをまとめた。
PRIは今後も、データ測定や報告体制、3テーマ以外の検討の必要性について議論を深めていく。
【参照ページ】Why and how investors can respond to income inequality
【レポート】Why and how investors can respond to income inequality
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