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【日本】日本鉄鋼連盟、2100年のCO2排出ゼロに向けたロードマップ発表。超革新的製鉄技術必要

 日本鉄鋼連盟(JISF)は11月19日、日本鉄鋼連盟長期温暖化対策ビジョン「ゼロカーボンスチールへの挑戦」を策定。2014年11月に策定した「低炭素社会実行計画フェーズⅡ(2030年目標)」達成に向けた取り組みに加え、新たに2100年までに鉄鋼業からの二酸化炭素排出量をゼロにするロードマップを発表した。

 今回のロードマップ策定に当たり、まず将来の世界鉄鋼需給を想定。マクロ経済数値を用い、2100年の粗鋼生産量を37.9億t、銑鉄生産量を12億tと推定した。銑鉄の生産量は現在も12.2億tあることから、「今世紀末においても、ほぼ現在並みの銑鉄生産が必要」としている。

 その上で、気候変動シナリオについて、「成り行きシナリオ(BAU)」「先端省エネルギー技術(BAT)最大導入シナリオ」「革新技術最大導入シナリオ」「超革新技術開発シナリオ」の4種類を設定し、それぞれの二酸化炭素排出量削減ポテンシャルを割り出した。イノベーションについては、「BAT最大導入シナリオ」ではコークス乾式消火設備(CDQ)や高炉炉頂圧発電(TRT)等の既存技術を、「革新技術最大導入シナリオ」では水素活用還元プロセス技術(COURSE50)やフェロコークスを、「超革新技術開発シナリオ」ではまだ実現が未知数の水素還元製鉄や炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)等の導入を想定している。

 鉄鋼業界による2100年の世界の二酸化炭素排出量は、「超革新技術開発シナリオ」以外は現状の31.9億tより増加し、「成り行きシナリオ(BAU)」では53.1億t、「先端省エネルギー技術(BAT)最大導入シナリオ」では39.8億t、「革新技術最大導入シナリオ」では36.9億tとなる。一方、理論上二酸化炭素排出量をゼロにできる「超革新技術開発シナリオ」では、利用電力や水素還元エネルギーも再生可能エネルギーにすれば0億tにできる。但しその場合は、東京ドーム100万杯分に相当する1兆2千億Nm3のカーボンフリー水素が必要となる。

 日本鉄鋼連盟は今後、製鉄プロセスの省エネ「エコプロセス」、省エネ技術の海外移転「エコソリューション」、鉄製品の強度強化や軽量化による製品使用時の二酸化炭素排出量削減「エコプロダクト」の3つを進めるとともに、2030年以降は超革新技術開発の実用化に取り組んでいく。

 日本の製鉄業は、新興国企業に台頭により、苦境に立たされてきている。今後は、製品品質や価格勝負だけでなく、二酸化炭素排出量を削減する技術開発も競争要素に加わっていきそうだ。

 また、このような資料は、ぜひ英語でも開示していただきたい。

【参考】【国際】鉄鋼業界の気候変動対応は大きな遅れ、日系大手3社にも厳しい評価。CDP報告書(2016年10月30日)
【参考】【スウェーデン】SSAB、LKAB、バッテンフォール、化石燃料フリーの製鉄実証プラント建設開始(2018年6月27日)

【参照ページ】日本鉄鋼連盟長期温暖化対策ビジョンの策定について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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