【国際】MSCI、ESGスコアの変化が企業株価に与える影響を分析したレポート発表

　インデックス開発世界大手米MSCIは11月13日、MSCIが評価した各企業のESGスコアをもとに、ESGスコアの変化が株価に与える影響を分析したレポートを発表した。MSCIの先行研究では、企業のESG要素が企業価値に影響を与えることを示していたが、今回はESGスコアの変化に焦点を当てた。

　ESGと企業価値の関係については、ESGスコアの高い企業と低い企業の株価を時系列分析ことが多かったが、同一企業について、ESGスコアの変化が株価変動にどのように影響を示した分析は比較的新しい。

　今回の研究では、ESGスコアの向上が大きかった上位20%と低かった下位20%を比較したところ、前者のほうが高く株価が上昇したことが確認された。また企業を先進国と新興国にわけて分析しても同様の結果が得られ、株価上昇率では新興国のほうが高かった。

　研究の2段階目では、ESGスコアの上昇が株価上昇に与える影響が、もともとのESGスコアの高い、低いによって差があるかを分析した。そのため、もともとのESGスコアを高い、中程度、低いの3グループに分けて影響度合いを見たところ、もともとのESGスコアが中程度の企業で上昇幅が大きく、残りの高いと低いのグループについては、上昇幅が小さかった。すなわち、ESG評価が固まっていない企業の方が、ESGスコアが改善した際に株価に反映されやすいことがわかった。また、ESGスコアの上昇が株価上昇に与えるインパクト度合いと、ESGスコアの低下が株価低下に与えるインパクト度合いの比較では、前者のほうが大きかった。

　最後に、ESGスコアの変化が株価に変化を与える時間差について分析。その結果、ESGスコアの変化から9ヶ月から12ヶ月後に株価に織り込まれやすいという結果が得られた。その背景については、今後の研究が待たれる。

【参照ページ】HOW MARKETS PRICE ESG: HAVE CHANGES IN ESG SCORES AFFECTED STOCK PRICES?

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所