機関投資家と人権NGOが設立したビジネスと人権に関する国際的なイニシアチブであるCHRB(Corporate Human Rights Benchmark:企業人権ベンチマーク)は11月9日、世界主要企業の人権格付の2018年結果を発表した。最高スコアを獲得したのはアディダス。日本企業で対象となっているイオンとファーストリテイリングの2社はスコアが低かった。
CHRBは2016年から毎年格付結果を発表している。対象となる企業は、人権問題の多い農作物、アパレル、資源採掘業種で時価総額と売上が大きい上場企業が選ばれる。今年は101社が選定された。日本企業では、2016年の初回からイオンとファーストリテイリングが対象となっている。
CHRBを構成しているのは、機関投資家側は英AVIVA Investors、スウェーデン・ノルデア銀行、蘭APG、蘭ESG投資推進VBDO。人権NGO側は、ビジネス・人権資料センター(BHRC)、人権ビジネス研究所(IHRB)、EIRIS財団。さらに、英国際開発省(UKAID)、オランダ外務省、スイス連邦政府も資金援助をし、国連財団やWorld Benchmarking Allianceも支援している。
評価手法は、「ガバナンスとポリシー」「人権尊重と人権デューデリジェンス」「救済と苦情処理メカニズム」「人権慣行」「深刻な申立への反応」「透明性」の6つの観点で構成。国連グローバル・コンパクト(UNGP)やOECD多国籍企業行動指針(OECDガイドライン)、国連ビジネスと人権に関する指導原則等が参考にされている。UN評価手法開発では、2016年まで2年以上かけ、約400機関以上のステークホルダーから意見を得た。今年の調査では、2月中旬から3月末まで、企業のホームページや報告書、またはCHRBのツール「CHRB Disclosure Platform」上で人権に関する情報を提供するよう企業に通知され、初期評価について企業側に抗弁の機会も与えられた。
(出所)CHRB
100点満点で80点以上を取得したのは、アディダスのみ。70点以上ではリオ・ティントとBHPビリトン。60点以上では、マークス&スペンサー、ユニリーバ、ヴァーレ、ENI、VFコーポレーション。コカ・コーラ・カンパニーやGAPもその後につけている。
日本企業 | 2016 | 2017 | 2018 |
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ファーストリテイリング | 10-19% | 10-19% | 20-30% |
イオン | 20-29% | 20-29% | 10-20% |
日本企業では、ファーストリテイリングとイオンはともに低迷。但し、ファーストリテイリングは過去2年から1段階スコアを上げた。一方イオンは1段階スコアを下げ、下から2番目の水準と評価された。
今年の101社のスコア平均は27で、昨年の18から改善が見られた。項目別では、人権デューデリジェンスでスコア0の企業が40%を占め、課題が多い。
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