イタリア保険大手ゼネラリ保険は11月9日、石炭採掘及び石炭火力発電関連への新規保険引受を禁止すると発表した。欧州の保険大手ではすでに、アクサ、チューリッヒ保険、アリアンツ、スイス再保険、ミュンヘン再保険が同様の発表を実施済。背景には、国際環境NGOのUnfriend Coal等が保険会社に対し強いエンゲージメントをかけてきたことが背景にある。ゼネラリ保険も過去数ヶ月間、ターゲットとして選ばれており、ついに同社も発表に踏み切った。
【参考】【イタリア】環境NGO、保険大手ゼネラリの石炭関連への保険提供停止求め9万人の署名獲得(2018年3月21日)
ゼネラリ保険の取締役会は2018年2月21日に気候変動戦略を承認。その際に、石炭関連企業への新規投資禁止と既存の20億ユーロの2019年4月までの投資引揚げ(ダイベストメント)や、2020年までに35億ユーロの環境分野への投資の実施、石炭関連企業への低炭素ビジネスへの転換に向けたエンゲージメント等を発表していた。
今回の発表では、同戦略に基づき、石炭採掘及び石炭火力発電関連企業への新規保険引受を停止することも発表した。禁止対象となるのは、石炭からの売上が30%以上、石炭からのエネルギー生成30%以上、毎年2,000万t以上の石炭採掘企業、国際環境NGOのUrgewaldが「石炭火力発電デベロッパー120社」に指定する企業。当該企業の石炭採掘や石炭火力発電所等の資産には、規模を問わず世界中で新規の損害保険を引き受けない。また、新規石炭採掘や石炭火力発電所新設に関する建設での損害保険も引き受けない。一方、既存の石炭火力発電所の近代化や改修は禁止対象とはしない。
同社は現在、石炭関連の損害保険収入は保険収入全体の0.1%を占めており、その中にはUrgewaldの「石炭火力発電デベロッパー120社」に掲載されている企業が6社ある。同社は今後、この6社に対し低炭素への移行計画について対話を進めていく。
また同社は、石炭分野でのステークホルダー・エンゲージメントを2018年7月から開始したことも発表。国際エネルギー機関(IEA)データで国のエネルギー割合に占める石炭割合が45%超の国で、かつ同社が投資や保険引受で関係がある国にある石炭関連企業を選定している。投資に占める石炭関連企業割合は現在0.02%で、保険収入に占める割合は0.1%。今後2年毎にエンゲージメント先企業の進捗状況を確認しに行く。
【参照ページ】OUR COMMITMENT TO THE ENVIRONMENT AND CLIMATE
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