アフリカ開発銀行(AfDB)は10月14日、民間融資債権10億米ドル(約1,100億円)をシンセティック型証券化(synthetic securitization)し、機関投資家に販売した。国際開発銀行が、融資債権を証券化するのは今回が世界初。世界最大のインパクト投資ファンドが誕生したと呼ぶ声もある。組成したのは、みずほフィナンシャルグループの英国子会社みずほインターナショナル。
今回証券化するのは、再生可能エネルギープロジェクト等への民間企業融資債権。アフリカ開発銀行が融資債権を保有したまま、特定目的会社(SPC)に利回りと信用リスクを移管する。これにより、アフリカ開発銀行が背負う信用リスクを減少させることで、貸付キャパシティが増え、低所得・脆弱国を含むサブサハラアフリカの再生可能エネルギープロジェクトにさらにファイナンスできるようになる。
Room2Runの資本は、4トランシェで構成。最もリスクの高いジュニア債(2,000万米ドル)と最もリスクの低いシニア債(7億2,750万米)ドルは、アフリカ開発銀行自身が保有する。シニアメザニン債(1億5,250万米ドル)には、欧州委員会の「European Fund for Sustainable Development」が信用保証が付く。ジュニアメザニン債(1億米ドル)は金利10%程度。メザニン債には、オリックスグループの英国法人ORIX USAが株式過半を保有する米Mariner Investment Groupの他、アフリカ開発銀行が設立したアフリカ27カ国のインフラ投資プラットフォーム「Africa50」、アフリカ2ヶ国の中央銀行が購入する。
今回の証券化取引により、アフリカ開発銀行の融資増が期待される反面、複雑な証券化により金融危機を引き起こしたリーマンショックの再来を懸念する声もある。EUは、域内では複雑な証券化取引を制限するガイドラインを提供しているが、今回の取引では度外視し、信用保証を提供したことも懸念の材料となっている。英フィナンシャル・タイムズ紙によると、当初は年金基金も投資に関心を示していたが、複雑な証券化を嫌い、最終的には投資をやめた。
国際開発銀行は通常、資金調達のために国際機関債を発行することが多い。しかし、信用力の高い国際機関債は金利が低いため、投資家にとってのリターンが小さい。ストラクチャーを担当したみずほインターナショナルは今回の金融商品の特徴について、プロジェクト単位でのリスクに投資することで、10%強のリターンが得られる旨味があると説明している。
【参照ページ】African Development Bank and partners’ innovative Room2Run securitization will be a model for global lenders
【参照ページ】African Development Bank, Mariner Investment Group, and Africa50 Price Landmark $1 Billion Impact Securitization
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