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【国際】「世界の栄養不足人口は3年連続で悪化」FAO報告。社会情勢不安や気候変動等が原因


 
 国連食糧農業機関(FAO)は9月27日、2018年の世界食糧安全・栄養白書「The State of Food Security and Nutrition in the World 2018」を発表した。世界の栄養不良者の数は2014年以降増加しており、2016年に約8億400万人だった栄養不足人口は、2017年には約8億2,100万人に増加。ほぼ10年前のレベルにまで逆行していることがわかった。世界食糧安全・栄養白書は、FAOが毎年発表する5大白書の一つ。

 同報告書によると、2017年の栄養不足人口率は10.9%に達する。貧困地域における継続的な不安定な社会情勢、世界中での気候変動、不景気等が原因で食糧安全保障が悪化してきている。南米およびアフリカ地域が特に状況が悪い。アフリカ大陸の栄養不足人口率は世界で最も高く、約21%(2億6,500万人以上)。栄養不足人口率が2014年の4.7%から2017年の5.0%にまで増加した南米でも状況は悪化している。アジアの栄養不足状況は大幅に改善しているが、2017年のアジアの栄養不足人口率は11.4%で、5億1500万人を超えている。この状況の改善なくして、2030年までに飢餓を撲滅するという国連持続可能な開発目標(SDGs)の目標は達成できない。

 子どもの発育不良と母乳育児に対しては栄養改善がみられる。発育不全児童の数は、2012年の1億6,520万人から2017人の1億1,500万人に9%減少した。しかし、その数字は依然として高く、2030年のSDGs目標に到達するには程遠い。6カ月未満の母乳育児をされた乳児は、2012年の36.9%から2017年には40.7%へと増加した。しかし、貧血に対する栄養改善は進んでいない。女性の貧血率は、2012年の30.3%から2016年の32.8%にまで上昇しており、減少した地域はない。世界では、生殖年齢の女性の3人に1人が依然として貧血をかかえており、彼女たちの子供たちにも大きく影響する。

 2017年には、5歳未満の子供の7.5%(5,050万人)が低身長のため疲労しやすくなり、死亡リスクが高まった。2013年の分析によると、5歳未満で死亡した子供の875,000人(全死亡者の12.6%)の死因が疲労に関連していた。

 世界人口の大部分はビタミンやミネラルなどの微量栄養素欠乏の影響を受けている。生殖年齢の女性の鉄欠乏性貧血は、微量栄養素欠乏の一形態である。栄養不良は、低所得国で多く発生し、貧困層に集中している。高所得国内での肥満に関しても同様に貧困層に集中している。

 世界の肥満児の割合は2012年には5.4%、2017年には5.6%(3830万人)であまり変化ない。3,830万人の肥満児のうち、25%がアフリカ、46%がアジアに住んでいる。一方、成人肥満は悪化している。成人肥満率は、2012年の11.7%から2016年には13.2%に上昇しており、毎年増え続けている。成人肥満人口は、2017年には6億7,200万人以上。これは世界人口の8人に1人以上が肥満であることを意味する。成人肥満は世界で1975年から2016年の間に着実に増加しており、過去10年間で加速している。成人肥満率も成人肥満増加率も北米で最も高い。

 健康的な食べ物へのアクセスが悪いと、栄養不良や太りすぎや肥満の原因となる。低体重児、発育不全および貧血のリスクが増大し、肥満につながる。十分な食料にアクセスできないことによる食糧不安は、子どもの疲労、発育不足および栄養素欠乏に寄与する可能性がある。栄養が足りない食生活は、妊婦の栄養失調につながり、結果として低体重出産のリスクが高まり、幼児発作の原因となる。また、食料不安のストレスにより、母乳育児に影響が出る。

 食糧不安は太りすぎや肥満の原因ともなりえる。栄養価の高い新鮮な食品は、高価になりがちであるためだ。食糧不安と肥満を結びつける心理社会的要因もある。食品への適切なアクセスを持たないという経験は、不安、ストレスおよびうつ病の感情を引き起こし、過体重および肥満のリスクを高める可能性がある。食生活の乱れと食糧枯渇が栄養失調や肥満と結びつくこともある。妊婦の栄養失調は、子どもにも大きく影響する。低体重児は、発育障害を引き起こす可能性があり、後に肥満とも関連する。

 FAOは、気候変動や異常気象がさらに食糧安全保障を脅かすと警鐘を鳴らす。2017年から、国連児童基金(UNICEF)と世界保健機関(WHO)も、FAOのパートナーとして、国際農業開発基金(IFAD)と世界食糧計画(WFP)の活動に参加している。

【参照ページ】The latest in the State of the World collection
【参照ページ】Food Security & Nutrition around the World

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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