台湾の頼清徳行政院長は10月12日、立法院(国会に相当)での答弁の中で、新台北市で建設計画中の石炭火力発電所「深澳発電廠」の建設を撤回するとともに、台中の現役石炭火力発電所「台中発電廠」の1号機から4号機の稼働停止方針も明らかにした。石炭火力発電所によるPM2.5等の大気汚染を問題視した。石炭火力から天然ガス火力へと舵を切る。
建設計画中の「深澳発電廠」では、1960年より1号機から3号機まで(設備容量合計400MW)随時稼働を開始していたが老朽化により2007年9月30日に廃止された。その後、同様に石炭火力発電機2機(設備容量合計1.6GW)の建設計画を進め、2020年代中頃に運転開始を予定していたが、今回計画の撤回方針が発表された。今回の決定の背景には、現在台中市観塘工業区に建設計画中のLNG基地「中油公司第三液化天然気接收站」の環境アセスメントがこの程通過したことがある。天然ガスの輸入強化による天然ガス火力発電を推進できると判断し、石炭火力発電所建設は不要となるとの考え。
一方、現役の「台中発電廠」は、1991年から現在10号機までが稼働。設備容量は1機550MWのため合計で5.5GW。同発電所は軽油火力発電機(79.3MW)4機と2MWの風力発電機22機も併設されている。同発電所は現在、天然ガスを燃料とした11号機と12号機(合計2.6GW)の建設が進んでおり、11号機が完成する2023年9月頃に、現役の石炭火力発電1号機から4号機までの稼働停止を今回表明した。4機ともGE製。緊急時用にとっておき廃炉にはしない予定。
台湾政府はすでに、原子力発電の廃炉も表明しており、風力発電を中心とした再生可能エネルギーも強化している。
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