経済産業省は9月28日、「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)の改訂版を発表した。取締役会議長、指名委員会、報酬委員会、社外取締役に関する内容が厳しくなった。今回の改訂は、金融庁が2018年6月1日に発表した「改訂コーポレートガバナンス・コード」の内容も踏まえるとともに、2017年12月からCGS研究会(第2期)の検討内容を反映させたもの。
社長・CEOの指名と後継者計画
経営陣の指名に関する内容を刷新し、社長・CEOの指名と後継者計画の重要性、現社長・CEOの責務、取締役会による監督と客観性・透明性の確保、社内者と社外者(指名委員会)の役割分担等、後継者計画に関する記載を新たに盛り込んだ。さらに「社長・CEOの後継者計画の策定・運用の視点」を作成し、後継者計画の策定・運用に取り組む際の基本形となる標準的な7つのステップや、社内者と社外者の役割分担の在り方、後継者計画の言語化・文書化の必要性などについての考え方を整理した。
取締役会議長
「取締役会の監督機能を重視する場合には、社外取締役等の非業務執行取締役が取締役会議長を務めることを検討すべき」とした。また、「必ずしも社内の情報に精通しているわけではない社外取締役が適切に議案選定や議事進行を行うことを可能とするための環境整備として、取締役会における決議事項・報告事項等を改めて整理することに加えて、取締役会議長を務める社外取締役の十分な時間を確保することが必要となる」とし、環境整備の重要性を指摘した。
指名委員会・報酬委員会の活用
改訂コーポレートガバナンス・コードで、「取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名委員会・報酬委員会など、独立した諮問委員会を設置することなどにより、指名・報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たり独立社外取締役の適切な関与・助言を得るべきである。」と、指名委員会・報酬委員会の設置が原則化したことを踏まえ、(1)社外役員が少なくとも過半数であるか、または、(2)社外役員とそれ以外の委員が同数であっても委員長が社外役員であることを検討すべきと追記した。
取締役の活用
社外取締役が実質的な役割・機能を果たす上で、資質等とは別に必要となる要素を示した。内容には、「社外取締役として必要な時間や労力を自社のために費やせること」「責任感と覚悟を持つこと」「企業経営に対して複合的・多様な視点を有する構成とすること」等が含まれている。
相談役・顧問
退任した社長・CEO経験者を相談役・顧問として会社に置く場合には、その人数、役割、処遇等について積極的に情報開示を行うよう追記した。
【参照ページ】コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)を改訂しました
【ガイドライン】改訂CGSガイドライン
【コード】改訂コーポレートガバナンス・コード
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