金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)は9月26日、2017年度の企業報告においてTCFDガイドラインに適合する情報開示の有無を調査した結果を発表した。多くの企業で、TCFDガイドラインに1つ以上が報告されていたが、財務影響まで開示できている企業は非常に少なかった。TCFDはガイドライン発表からわずか1年しか準備期間がなかったこともあるとしており、今後の進展が期待されている。
今回TCFDは、世界1,735社の2017年度の企業報告を分析した。分析は、人工知能(AI)によってTCFDガイドラインに含む内容があるかどうかを判定。さらにG20諸国を含む29ヶ国200社については人による追加調査を実施した。1,735社の業種内訳は、銀行301社、保険会社311社、エネルギー企業270社、素材・建築271社、輸送331社、農林業・食品企業250社。追加調査は8セクターで25社ずつ実施された。地域別では、欧州54%、北米29%、アジア太平洋15%、中南米1%、中東・アフリカ1%。
(出所)TCFD
売上100億米ドル以上の企業では、シナリオ分析(Strategy C)まで実施している企業は非常に少数だが、それ以外では開示が進んできていることがわかる。一方、それ未満の大手企業は、取組が遅かった。地域別では、欧州が抜きん出て高く、アジア太平洋地域は低かった。
現在、TCFDへの支持を表明している企業は世界500社以上。時価総額合計は7.9兆米ドル(約900兆円)にもなる。TCFDは、ガイドライン発表後の初年度で一部企業ではTCFDガイドラインに即した情報開示ができていることから、ガイドラインそのものの有効性や実行可能性が確かめられたと発表。今後は、意思決定に資するような質の高い情報開示が重要となるとの見方を示した。
FSBは、2018年度の企業報告をまとめた状況報告も実施するようTCFDに要請しており、来年も継続発表される。
【参照ページ】Task Force report shows momentum building for climate-related financial disclosures
【レポート】2018 Status Report
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