デンマーク銀行最大手ダンスケ銀行のトーマス・ボルゲンCEOは9月19日、同社のエストニア現地法人が大規模なマネーロンダリングに関与したという内部調査結果を受け、辞任すると表明した。社外取締役のオレイ・アンダーソン取締役会議長は、「当行がこの件について責任ある行動をとっていなかったことは明白。失望させ受けいられれないものであり、顧客だけでなく、投資家、従業員、社会全体含む全ての関係者にお詫びする。再び信用を取り戻すためやるべきタスクがあると認識した」と語った。
同行は2017年秋から社内約70人を動員し内部調査を実施。2007年から2015年までの1.5万人の顧客口座と950万件の決済履歴を調査するとともに、現経営陣や従業員だけでなく前従業員も含め70回以上の面会調査も実施した。内部調査は、Bruun & Hjejle法律事務所の弁護士の主導のもと、取締役会が統括した。調査した顧客口座の合計は2,000億ユーロ(約26.3兆円)に上る。その結果、最も疑わしい6,200人の分析を実施した段階で、総額は公表できないものの、マネーロンダリングに関与していたことが判明し、今回の発表に至った。
同内部調査報告書によると、同社がエストニア支社の前身だったSampo Bank銀行を2007年に買収してから2015年に是正措置をとるまで、ダンスケ銀行の基準に適しない非居住者口座が大量にあり巨額の決済が行われていた。また、その口座や決済内容のほとんどが当局に適切に報告されていなかった。さらに小規模であったエストニア現地法人は、マネーロンダリングのリスクマネジメントを行う認識に欠けており、同現地法人以外の企業グループ全体も、エストニア現地法人の状況を適切に監督せず、職務遂行違反があったと結論づけた。そのため、エストニア支社での不正行為にはダンスケ銀行グループのガバナンスに重大な欠陥あったとした。
一方、同調査報告書は、ダンスケ銀行の取締役会議長、取締役、CEOには過失がないと結論。しかし今回、責任を取りCEOは辞任を表明した。同時に、取締役会は、エストニア現地法人が同期間に得た利益15億デンマーククローネ(約267億円)を全額寄付することも表明した。今後の対策としては、グループの最高コンプライアンス責任者を交代させ、反マネーロンダリング(AML)をグループ全体に行き届かさせるとした。監督不行き届きがあったエストニアでの反省を受け、バルト海地域を統括するバルト海地域統括本部を設置するとともに、同地域のITシステム管理もグループと同じにし、グループ全体でのチェックが行き届くにようにする。
ボルゲンCEOは2013年に就任。後継が決まるまでは職務を続ける。
【参照ページ】Findings of the investigations relating to Danske Bank's branch in Estonia
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