世界経済フォーラム(WEF)は9月17日、AI(人工知能)や自動化が今後進展し、全体の仕事量に占めるAI・自動化割合が現状の29%から58%に増加。2022年までに7,500万の雇用が喪失するとの予測結果をまとめたレポートを発表した。同時に一方で1億3,300万の雇用が創出され、純雇用は5,800万増えるとした。
今回のレポートは、12セクターと20の新しいビジネスセクターにおけるグローバル企業約300社の人事責任者やその他戦略担当の経営陣への調査から分析をまとめたもの。同レポートは、今後58%の労働力が再教育やスキルアップが必要となるとし、正規雇用の削減が必要となると答えた回答は50%だったと報告している。一方、専門業務委託が拡大するが48%で、自社内だけでなく外部人材資源の活用への転化を示唆する内容となっている。
今後スキルギャップが大きくなるセクターは、航空、旅行・観光、情報通信、金融、鉱業・金属工業。また、従業員の再教育が必要なセクターは、保険・医療、化学、素材・バイオテクノロジー。一方、交通・運輸は再教育が迫られる可能性は低いと見通した。
地域毎の影響としては、戦略的な人事配置として、東アジア、太平洋、西欧地域は「金融・投資アドバイザー」、中米カリブ、中東・北アフリカ、南アジア、サブサハラ・アフリカ地域では「組立作業者や工場労働者」、北米地域では「電子工学エンジニア」の需要が高まる予測。特にグローバル企業の戦略担当者は、需要増加が見込まれる地域での人事配置や人材開発が重要と認識しており、地域毎に挙げられた成長分野では、従業員スキルの再教育も必要となってくる。
AIや自動化による経営革命という「第四次産業革命」について雇用に悪影響を及ぼすとする研究がこれまで多い中、世界経済フォーラムはより楽観的な見方を示したと言える。世界経済フォーラムは今回のレポートの中で、政府への提言として、「未来の労働力で必要となる技能とソフトスキルの両方を養うことための新しい教育制度」や「生涯学習者のエコシステムの支援する社会政策」「労働力の変遷がもたらす社会的な影響に対応したセーフティネットの構築」「新しい職業やスキルのローカルあるいはグローバルレベルの需要を踏まえた雇用創出」を挙げた。
【参照ページ】Machines Will Do More Tasks Than Humans by 2025 but Robot Revolution Will Still Create 58 Million Net New Jobs in Next Five Years
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