世界金融大手英HSBCは9月12日、世界のESG投資動向を調査したレポートを発表した。HSBCのESG動向調査レポートは今年で3回目。初回の2016年は環境に焦点をあて、2017年は社会インパクト投資も内容に加えた。
今回の2018年調査ではESG全般を扱った。調査は金融調査世界大手豪East & Partnersに委託。機関投資家868機関、発行体863機関の合計1,731機関に対し、2018年6月29日までの5週間をかけアンケート・インタビュー調査した。対象期間の地理別数は、北米254(投資家129、発行体125)、英国252(投資家126、発行体126)、香港252(投資家125、発行体127)、中国251(投資家125、発行体126)、カナダ250(投資家126、発行体124)、シンガポール101(投資家50、発行体51)、アラブ首長国連邦101(投資家51、発行体50)、サウジアラビア100(投資家50、発行体50)、フランス85(投資家43、発行体42)、ドイツ85(投資家43、発行体42)。日本は対象となっていない。
ESGを考慮した意思決定を行う2大ドライバーは、税優遇と財務リターン。投資家では財務リターンとの回答が48.4%、税優遇が46.5%。発行体では税優遇が52.4%、発行体が46.5%だった。
ESG戦略の情報開示では、欧州では発行体と投資家ともに85%前後にまで到達。北米ではカナダも双方とも80%を超えた。一方、米国では投資家が58.1%なのに対し発行体は20.8%と投資家側の方が進んでいる。中東湾岸地域でも投資家の55.4%に対し、発行体は30%と低かった。中国と香港をあわせたアジア平均は投資家40%に対し発行体23.7%と全地域の中で一番低かった。
ESGを考慮した結果としてのパフォーマンスでは、需要増、財務リターン、エンゲージメント、レピューテーションの観点で質問されたが、いずれも発行体、投資家ともにいずれでもプラスの評価だった。
ESGを考慮した意思決定への障壁では、投資家側で最も多い回答が「需要不足」だったのに対し、発行体側は「ESG定義の一貫性の欠如」だった。また、障壁認識については、中国と香港では発行体側は90%以上がないと認識しているのに対し、半数以上の投資家側があると回答。不均衡さが目立った。全体傾向では、中東湾岸諸国と米国では障壁が大きいと認識されていた。
【参照ページ】ESG becomes a priority
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら