オランダ・ハーグに設置されている常設仲裁裁判所(PCA)は9月7日、エクアドル憲法裁判所が7月10日にエネルギー大手米シェブロンに対して下した95億米ドル(約1.1兆円)の罰金判決について、国際法違反とする判決を下した。エクアドル政府が選定した仲裁人一名を含む3人全員の仲裁人が、エクアドルの裁判所で争われたラゴ・アグリオ事件では、原告側から裁判官への賄賂等腐敗行為が確認されたとし、さらに罰金判決は米国エクアドル二国間投資協定に違反すると判断した。
今回の判決を受け、シェブロンはエクアドル裁判所の罰金判決に服する義務がなくなったと主張。一方。常設仲裁裁判所は、裁判ではなく、仲裁機関のため、判決内容に法的拘束力はあるが、執行管轄権はない。
【参考】【エクアドル】憲法裁、シェブロン対先住民裁判で先住民側勝訴。20年以上の裁判が結審(2018年7月16日)
常設仲裁裁判所の判決によると、今回争点となった事件は、現在シェブロン子会社のTexPetが、かつてエクアドルのアマゾン熱帯雨林地域の先住民土地に有害原油廃棄物数十億ガロンを意図的に廃棄したというもの。米ニューヨークの裁判所に初めて提訴された際のTexPetの所有者は、エクアドル国営原油採掘Petroecuador。TexPetは1995年にエクアドル政府との間で事件に関する和解が成立し、TexPetが費用負担し原状回復をすることとなった。今回の判決によると、TexPetは業界の中で信頼のある事業者に原状回復を委託し、しっかりと原状回復作業が完了したという。その後2001年、シェブロンはTexPetに一部株式を取得し、株主となったためシェブロンには事件に関する責任はない上に、事件はすでに和解で解決していると判断した。
原告側は、シェブロンを相手取った裁判をカナダ等でも提訴し、2009年にシェブロンは常設仲裁裁判所に仲裁を依頼。TexPetとの和解成立後に同案件での訴訟は米エクアドル二国間投資協定に違反すると訴えた。その後、エクアドルでの裁判が2011年に開始した後、2012年には常設仲裁裁判所の訴状に、腐敗行為が確認されるエクアドル裁判所による判決の無効化も加えた。今回の判決では、シェブロンの訴えが認められた形。
【参照ページ】Ecuador Found Liable for Violating International Law, Supporting Fraud and Corruption
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