フランスで9月1日、ネオニコチノイド系農薬5種の農業使用を全面禁止する法律が施行した。禁止対象となる物質は、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム、チアクロプリド、アセタミプリド。屋外と屋内双方での使用が禁止された。蜂等の送粉者保護が目的。
現在、EUで認められているネオニコチノイド系農薬は上記の5種のみ。果樹、甜菜類、小麦、キャノーラ、葡萄等の農産物の栽培で最も広く使用されている。ネオニコチノイドは、文字通り「新しいニコチン系殺虫剤」を意味し、昆虫の中枢神経に作用して麻痺や死に至らせる。害虫の駆除だけでなく、蜂の記憶喪失や女王蜂の減少、蜂の巣の崩壊等、世界的に悪影響を及ぼしていると指摘されてきた。送粉者が減少すると、農業に大きな被害となる。
欧州委員会は4月27日、世界的に最も広く使用されているクロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムの3種類のネオニコチノイド系殺虫剤の屋外使用を全面的禁止を決定。今年中に施行され、密室屋内のみで使用が認められるルールとなった。しかしフランスでは、チアクロプリド、アセタミプリドも対象に加え、屋内での使用も禁止し、より厳しいルールを導入した。但し、アセタミプリドについては2020年7月まで事情に応じた例外使用を認めた。また農業以外での使用は禁止していない。
【参考】【EU】 欧州委員会、ネオニコチノイド系3種を含む殺虫剤の屋外使用を2018年中に禁止(2018年5月8日)
今回の措置に対し、穀草類や甜菜類等の農業関係者からは代替手段ないと不満が出ている。一方、環境団体からはネオニコチノイド系農薬は、ペットのノミ取りや家庭のハエ取り等でも使用されており、これらも禁止すべきだとの声を上げている。
日本では、稲、果樹、野菜等に、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムの他、ジノテフランも幅広く使用されている。また、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリドも農林水産省に農薬登録されている。日本もネオニコチノイド系農薬を禁止すべきとの意見も出ているが、農林水産省は、日本では、「欧米のように農薬の粉塵が広範囲に巻き上がるような方法では播種していないため、種子処理や土壌処理への使用の制限は不要」と説明。またカメムシ駆除のために必要としている。
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