ESGリスク情報提供世界大手スイスRepRiskは8月30日、移民労働者に関する特別リスクレポートを発表した。特に、食品、建設、運輸業界で発生した過去2年間のできごとに焦点を当てた。RepRiskは欧米の機関投資家にクライアントが多い。
今回の調査では、人工知能(AI)と人による分析の双方を活用し、16言語のビッグデータを収集。分析を実施した。国連機関の国際移住機関(IOM)は7月13日、「安全で秩序ある正規移民のためのグローバルコンパクト(Global Compact on Refugees and a Global Compact for Safe, Orderly and Regular Migration)」を発行。その中で、移民労働者の採用や虐待や搾取からの保護について規定している。RepRiskは、2015年以降、移民労働者問題を重要なESGリスクの一つとして取り上げている。
国際労働機関(ILO)の2013年の調査によると、世界の移民労働者の数は約1億5,000万人。最も移民労働と関連している国は、米国、ロシア、タイ、ブラジル、カタールの順。最も移民労働と関連している企業・団体は、国際サッカー連盟(FIFA)、ウォルマート、Thammakaset Farm(タイ)、Sarbanand Farms(米国)、Betagro Group、Industria de Diseno Textil、マークス&スペンサー。FIFAは、ワールドカップ会場建設に移民労働者が大きく関わっている。ここに名前が出ている国や企業は、移民労働と関わりがあるというだけで、問題に関わっているということではない。
米国やブラジルでは過去2年間、精肉加工企業での移民労働者の違法労働や搾取が摘発された。タイでも食品加工企業での移民労働者虐待が問題となった。イタリアでも農場で10万人以上が奴隷労働を強いられていると報告されている。FIFAロシア大会では、会場建設現場で移民労働者の事故死が多発し、21人が死亡。米サイパンでは、ホテル建設会社で、移民労働者に裏で賃金返還を要求する慣行が発生していた。運輸業界では、移民労働者によるトラック運転手での劣悪労働問題が複数国で報じられた。
【参照ページ】RepRisk Special Report Migrant Labor
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