ニュージーランド代議院(国会に相当)は8月15日、外国人によるニュージーランドの中古不動産購入を禁止する法案「Overseas Investment Amendment Bill」を、賛成65、反対57の賛成多数で可決した。英連邦王国エリザベス女王が裁可すれば成立する。
ニュージーランドでは近年、中国をはじめとした外国国籍人による不動産購入が急増し、不動産価格が高騰。ニュージランド都市部の不動産価格は現在、世界で最も高いとまで言われており、ニュージーランド人の持ち家比率は1991年の50%から現在では25%にまで落ち込んでいる。ホームレス問題も深刻化している。ジャシンダ・アーダーン首相は、着任直後の2017年10月から同法の制定について動き始め、2017年12月に法案を国会に提出。今回ついに可決に至った。
今回の新法では、ニュージーランドの居住ビザを保有していない外国人が中古不動産を購入することが全面的に禁止される。但し、自由貿易協定(FTA)によって同法の適用が免除されるオーストラリアとシンガポールの国籍保有者は禁止の対象外となる。同法案は当初、ニュージーランドの永住ビザを保有していない外国人の購入を禁止するとしていたが、反発に会い、対象を永住ビザではなく居住ビザ保有者に緩和した。最近では、ペイパル創業者のピーター・ティール氏が8日間のみ滞在し市民権(永住ビザよりレベルが上)を獲得し、現地で不動産を購入したが、今後はこのような方策もとれなくするという。
一方、今回の法案は、新規住宅供給を増加させるため、大規模宅地開発での新規物件購入は、同法の対象外とした。そのため、外国人はこのような新規物件は引き続き購入できる。
同法案の審議過程では、国際通貨基金(IMF)が、不動産価格を引き下げる実効性はないとし、同法案に反対を表明していた。また、同法案では、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)発効後では、同様の規制導入が難しくなるとの見方もあり、発効前の成立を急いでいた。
【法律】Overseas Investment Amendment Bill
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら