チリで8月3日、ビニール袋の商用利用を禁止する法律が施行された。同様の法律の施行では南米初。施行は6月1日には決定していたものの、チリ工業プラスチック協会(Association of Industrial Plastics)が上告したことで施行が遅れていた先日、同国憲法裁判所が同協会の訴えを退け、法施行が確定した。
新法では、衛生面や食糧廃棄物を防ぐために必要な包装以外の全ビニール袋の商用利用が禁止され、違反者には370米ドルの罰金が課される。チリの最低賃金は月額800米ドルであり、そのインパクトは大きい。新法の適応に、大企業は6か月、中小企業は2年間の猶予が与えられる。その間は、一つの取引につき最大2枚までのビニール袋の使用が認められる。
チリは、南米におけるビニール袋の制限を他国に先んじて実行してきた。2014年、当時のミシェル・バチェレ大統領はパタゴニア地方でビニール袋の使用を禁止。翌年には禁止エリアを湾岸地域にまで拡大した。チリにおけるビニール袋の使用は年間32億枚。一人当たり年間200枚に達している。リサイクル率はわずか4%(人口ベース)で、消費されるビニール袋の90%は埋立地か海に行き着き、鳥や魚が飲み込んでしまう等環境インパクトが問題となっている。
中南米地域では。チリ以外でも取組が進んでいる。アンティグア・バーブーダは2016年、ビニール袋をカリブ海地域で初めて禁止した。また同年、コロンビアも小型ビニール袋の使用を禁止し、2017年からは大型ビニール袋に税金を課す運用も開始した。エクアドルは世界遺産であるガラパゴス諸島でビニール袋、プラスチック製ストロー、ペットボトルの使用を禁止している。パナマも2017年1月、中米では初めて全ビニール袋の使用を禁止し、企業には2年の猶予期間が設けられた。
中南米の大都市でも動きは進んでおり。メキシコシティーでは2009年にビニール袋の無料配布を禁止。サンパウロも2015年に続いた。2017年1月には、ブエノスアイレスが、スーパーマーケットでのビニール袋使用及び販売を禁止している。
中南米地域は、1,600万km2の海洋を擁し、世界の魚総数の4分の1が生息すると言われている。海洋プラスチックごみ問題に特に影響を受けやすく、各中央政府や地方政府は海洋プラスチックごみ問題への関心が高い。
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