米エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)は7月30日、丸紅の石炭火力発電事業の将来性に警鐘を鳴らす報告書を英語で発表した。丸紅が建設を進める石炭火力発電プロジェクトが世界的なトレンドの変化に大きな影響を受ける一方、同社の再生可能エネルギー事業については高く評価した。国際的なエネルギー研究機関が丸紅1社をターゲットとしたレポートを書くのは珍しく、同社への関心が非常に高いことが伺える。
同報告書によると、現在丸紅が計画中の石炭火力発電所新設プロジェクトは設備容量が合計13.6GW。事業者として世界第11位の規模。一方、日本の大手他社では住友共同電力7.5GW、電源開発(J-Power)4.6GW、東京電力4.6GW、中国電力4.2GW、三菱商事1GW、三井物産ほぼゼロで、丸紅が突出して多いことがわかる。現在丸紅は、日本、モンゴル、フィリピン、ベトナム、タイ、インドネシア、エジプト、南アフリカでプロジェクトを進めており、ミャンマー、ボツワナは計画中止に追い込まれた。
IEEFAは、丸紅が現在および潜在的な投資家から大きな評判リスクに直面していると指摘。地元NGOからも強い反発に遭っていると言及した。EEFAのアナリストであるサイモン・ニコラス氏は、「この流れに逆行することは、愚かであるだけでなく、投資家、市民社会、政府の目にはますます有害でもある」と警鐘を鳴らした。
一方、丸紅の再生可能エネルギー市場での実績については高く評価。同社が欧州市場で築いた経験は、台湾や日本の洋上風力発電市場でも活かせると強調。同社が地盤を築きつつある中東での太陽光発電事業も可能性が大きいとした。
丸紅に石炭火力発電事業はますます逆風にさらされつつある。
【参照ページ】IEEFA report: Marubeni’s coal commitments are creating ‘needless reputational and financial risk’
【レポート】Marubeni’s Coal Problem
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