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【EU】欧州司法裁、ゲノム編集作物にもGMO規制適用と判断。農業関連企業は対応必須

 欧州司法裁判所(ECJ)は7月25日、種が元来持つ特定の遺伝子を科学的に改変させる「ゲノム編集(Gene Editting)」により開発した作物も、従来の遺伝子組換え作物(GMO)と同様に規制の対象とすべきとの判断を下した。ゲノム編集を、遺伝子組換え技術と同様に規制すべきではないとの声もあるが、欧州司法裁判所は厳しい見方を示した。

 1960年頃から開発された遺伝子組換え技術は、主に細胞の外型で人工的に遺伝子を創り出し、細胞内に組み込み遺伝子を改変させる技術。他種の植物や微生物の遺伝子を組み込むことが多く、遺伝子を「創造」し、不自然な作用が起こる可能性があるとして忌避されることも多い。それに対しゲノム編集は、1990年以降に誕生した新たな技術。細胞内で編集したい遺伝子に作用する分子を人工的に送り込み、DNA配列を結合したり、切断したりしながら遺伝子を書き換える技術。従来型の遺伝子組み換え技術よりも、速く、低コスト、狙い通りに書き換えを行うことができるため、近年大きく注目されている。すでにマッシュルームやとうもろこし等でゲノム編集作物が生まれている。

 EUのGMO規制では、欧州食品安全機関(EFSA)や各加盟国の当局が、遺伝子組換え食品や飼料の安全性を審査し、合格したもののみが栽培、流通できる。また、一度合格したものの一定期間ごとに再審査を受けることが義務付けられている。商品化された遺伝子組換え作物は、流通記録の5年間保持と表示義務が課せられている。2015年からは改正環境放出指令が施行され、EUの安全性審査を通過した遺伝子組換え作物でも各加盟国が個別に栽培を禁止することができるルールが導入され、規制が厳しくなった。

 今回の裁判は、仏農業団体がゲノム編集作物にGMO規制が適用されるか否かの司法判断を求め開始された。ECJがGMO規制が適用されるとの判断を下したことで、農業関連企業には規制対応が求められることになる。

 一方、米国では農務省がゲノム編集作物にはGMO規制を適用しないとの考えを表明しており、米国とEUで対応が分かれた。

【判決】C‑528/16

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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