米ブラックロックは7月12日、スチュワードシップに関する同社の考え方をまとめた文書を公表した。米国ではESG投資がリターンにつながるかで意見が割れる中、同社は顧客資産に対する受託者の役割とESG投資は不可分と断言した。企業が規制トレンドや社会トレンドを認識することが長期的なパフォーマンスとリスク緩和につながり、同社は投資先企業に対しマクロ経済環境や業界トレンドの理解するよう期待すると表明した。
今回発表した文書は、投資コミュニティがスチュワードシップを機能させるエコシステムを築くため、アセットオーナー、運用会社、インデックス開発会社、議決権行使助言会社等業界全体のあり方を示したもの。しばしば各プレーヤーにおけるスチュワードシップはごちゃ混ぜに語られることが多いが、ブラックロックは各プレーヤーが果たす役割の違いに着目し、その中で運用会社であるブラックロックの考えるスチュワードシップを打ち出した。
同社は、アセットオーナーと運用会社をあわせた機関投資家全体では、議決権助言会社に大きく依存した決定を行う投資家と、投資先企業へのエンゲージメントを重視する投資家がいるとし、同社は長期的な持続可能な企業の成長を希求し、エンゲージメントを重視するスタイルを採っているとした。そのため、株主提案や議決権獲得闘争を自ら実施せず、また経営陣に対するアクティビスト・プレッシャーをかけることもないと言明した。また、上場企業に対し取締役ポジションを要求することもないとした。
また、エンゲージメントや議決権行使について、エンゲージメント方針、議決権行使方針、議決権行使結果を同社のウェブサイト上に公開することを約束した。同時に議決権行使結果を公開することで、運用会社の考え方の違いを投資コミュニティに提示できるとし、他社にも同様のアクションをとるよう暗に促した。
米国では近年パッシブ運用の有効性を求める考え方が強まり割合が増えてきたが、昨今再びパッシブ運用とアクティブ運用の長期的な有効性について改めて議論され初めている。ブラックロックはパッシブ運用プレーヤーの雄として、今回あらためて同社の考え方やスタンスを提示。アセットオーナーや発行体から支持を期待したアクションと言える。
【レポート】The Investment Stewardship Ecosystem
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