英ビジネス・エネルギー・産業戦略省は7月19日、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の新規受付を2019年3月31日に終了させる政策案をまとめた。9月13日までパブリックコメントを受け付け、その後最終判断を下す。英国政府は2015年、同日までのFIT終了の方針を掲げていた。
英国では、2002年から電力事業者に対し再生可能エネルギーでの発電を一定程度義務付けるRO(Renewable Obligation)制度が導入され、2010年から5MW以下の小規模発電所を対象とした固定価格買取制度(FIT)が導入された。それにより、再生可能エネルギー発電設備容量は、2010年末の9.3GWから38.9GWの急増。一方、2012時点ではFITにより75万の申請が集まるとしていた予想は大幅に上回り、2017年末時点で80万に到達。それに伴い、固定価格買取制度を支えるための消費者への電気料金転嫁は当初年間4.4億ポンド(約640億円)と見ていたが、2020年には16億ポンド(約2,300億円)にまで到達した。
そのため英政府は、これ以上の電気料金負担を抑制するため、2017年度から予算に上限を適用していくことを表明。また、再生可能エネルギー発電コストが低下する中、固定価格買取制度なしでも事業が成り立つケースが出てきていることもあり、2019年3月31日をもってFITの新規受付を停止する考え。
英国では2015年から、固定価格買取制度(FIT)とは別に、差金決済契約制度(CfD)も導入されている。FITが予め政府により電源種別毎に買取価格が長期間固定で設定されるのに対し、CfDは発電事業者と電力の買い手と成る政府系企業との間で契約により長期間の固定価格(ストライク・プライスと呼ばれる)を設定する制度。英エネルギー・気候変動省が、2015年に第1回の公募結果を、2017年に第2回の公募結果を発表。対象となる電源種別は、洋上風力、潮力、廃棄物火力、嫌気消化、バイオマス混焼、地熱の他、原子力やCCS付火力にも認められている。今回小型発電所を対象としたFITは終了させる考えだが、大型発電所を対象としたCfDは残る。
【参照ページ】Feed-In Tariffs Scheme
【参照ページ】Contracts for Difference (CFD) Scheme
【参照ページ】Contracts for Difference
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