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【アメリカ】EPA、石炭燃焼残渣廃棄ルールの緩和を発表。州政府に規制緩和権限を授権

 米環境保護庁(EPA)は7月18日、現在、2016年水インフラ改善法(WIIN)第2301条に基づき定められている石炭灰など石炭燃焼残渣(CCR)の廃棄に関するルールを緩和し、2014年時の法規制レベルに戻すルールを最終発表した。これにより、年間で規制コストが2,800万米ドル(約31億円)から3,100万米ドル(約35億円)削減できるという。

【参考】【アメリカ】EPA、石炭燃焼残渣廃棄ルールの規制緩和を検討。州政府に権限委譲(2017年5月18日)

 前オバマ政権時代のEPAが2014年に定めたCCR最終規則(Final Rule)では、石炭燃焼残渣(CCR)の廃棄について主流となっている2つの利用法の評価方法を開発、発表したが、EPAや州政府に対して直接規制や許認可を定める権限は与えず、係争時には民事裁判所で解決するという内容になっていた。しかし、2016年水インフラ法(WIIN)制定により、州政府に対しCCR最終規則に基づくルールを制定する権限を認めると同時に、ルールを制定しない州や州政府のルールをEPAが不適切と判断した州に対してEPAが直接ルールを設けることができることも定めた。同ルールは、大気浄化法の「クリーンパワープラン」とともに石炭火力発電を抑制する効果を果たしていた。

 新ルールでは、石炭火力発電事業者からのCCR基準値の設定について2つの新たな手法を導入する考え。まず、EPAが州政府に石炭燃焼残渣基準値設定の権限を移譲した州に対しては、州政府が有害物質が貯水池に流出するおそれがないと判断した場合には地下水のモニタリング義務を自ら停止することができるようになる。トランプ政権下のEPAは、自らの権限を弱め州政府に権限を移譲する考えを強めており、規制を嫌う州にとっては自由度が大きく向上する。すでに6月18日、オクラホマ州に対して第1号の授権「State Coal Ash Permit Program」を許可した。

 また、従来は、地下水モニタリングでは、専門エンジニアが許可証を発行する仕組みとなっていたが、替わりに州政府やEPAが技術許可証を発行できるようになる。これにより、アセスメントを専門エンジニアに委任する必要がなくなり、州政府の自由度がさらに高まる。

 加えて、飲料水基準を設定していない居住区に対して定められている地下水保護基準「最大汚染レベル(MCL)」を緩和する作業も進めている。現在、漏水防止処理が施されていない地表貯水池から地下水保護基準を超える量の石炭燃焼残渣が検出された場合や、最重要の貯水池に石炭燃焼残渣を廃棄する際に場所規制を遵守できない場合には、EPAには石炭燃焼残渣廃棄場に石炭燃焼残渣を廃棄することを止めさせる権限があるが、その権限行使時の実施締切期日を長くする考えも示した。

 EPAは今回、今回のルール改正に載っていない石炭燃焼残渣ルールについても、今後緩和を目指すと表明した。

【参照ページ】EPA Finalizes First Amendments to the Coal Ash Disposal Regulations Providing Flexibilities for States and $30M in Annual Cost Savings

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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