国際民間航空機関(ICAO)は6月27日、第214回理事会を開催し、国際民間航空条約(シカゴ条約)第16附属書第4巻の初版を採択したと発表した。2019年1月から民間の国際便からの二酸化炭素排出量情報を収集するための測定、報告、検証(MRV)について、詳細フレームワークに関する内容が規定された。
国際便からの二酸化炭素排出量測定は、どの国に排出量を配分するかの考え方が未整備だったため、国際的に排出量が大いにもかかわらず、これまで各国の排出量算出から例外的に除外扱いされてきた。ICAOは2016年の総会で、国際線のカーボンオフセット及び削減スキーム(CORSIA)のための国際基準を策定することで、ICAO加盟192ヶ国が歴史的な合意を締結。民間国際線分野の二酸化炭素排出量算出、報告が国際的に決まった。それから2年未満で、今回フレームワーク策定に漕ぎ着けた。
【参考】【国際】ICAO総会、国際線への温室効果ガス排出削減制度で画期的な合意。排出権購入を義務化(2016年10月24日)
今回の理事会では同時に、小規模航空会社向けに、二酸化炭素排出量の予測と報告を簡易に行えるツール「CERT」の2018年改訂版も承認。また、ICAOでの二酸化炭素排出量の報告管理簿となる「CORSIA Central Registry(CCR)」の詳細仕様に関しても合意に至った。これにより、航空会社による国際線からの二酸化炭素排出量算出・報告手法が基本的に固まったことになる。同フレームワークの実効性は、ドイツ政府他7カ国と航空会社10社が参加する形ですでに検証済だという。
ICAOは今後、カーボンオフセット市場制度の設計を本格化する。ICAOの基本フレームワークは、ベースラインからプロジェクト等による各航空会社の二酸化炭素排出削減分をカーボンオフセットで販売できるようにするというもの。この削減分は「Emission Units」と呼ばれている。今後ICAO理事会は、このEmission Units認定の適格性基準の策定、航空燃料のうちどの燃料種が適格性を持つとするかの定義決定、カーボンオフセット市場の運営ルール等の検討を進めていく。
【参照ページ】ICAO Council reaches landmark decision on aviation emissions offsetting
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