セメント世界大手仏ラファージュは6月28日、人道に対する罪と金融テロリストの罪の双方の共犯罪の疑いで、フランス・パリの裁判所に告発された。シリアの紛争地域ジャラビーヤにあるセメント工場の稼働を続けるために、2011年から2014年までISISを含む反政府組織に1,300万ユーロ(約17億円)を支払った疑い。告発は仏人権NGOによるもの。同裁判所は、告発を受理し、同社に対し裁判前の預託金として3,000万ユーロ(約39億円)を支払うよう命じた。2015年10月にスイスのホルシムと合併し、ラファージュホルシムとなった同社は、今回の判断を不当とし、起訴取り下げを求め、控訴する考え。
今回告発したのは、人権NGOのSherpaとEuropean Center for Constitutional and Human Rights(ECCHR)及び元従業員11名。問題が疑われる現地での活動に従事したのは同社のシリア子会社ラファージュ・セメント・シリアだが、今回親会社のラファージュが被疑者となっている。今回の裁判は、人道に対する罪への共犯罪で親会社が告発された世界初の事例となるという。過去には、蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが1990年代にナイジェリアで人権侵害に関与した疑いで米国の裁判所に告発されたが、米連邦最高裁判所は2013年に同案件を最終的に不受理としていた。
同裁判所は今後、同社について複数の事案で捜査を進める。まず反政府組織への資金供与。同社は、ラファージュ・セメント・シリアによる支払いは、反政府組織が現地従業員と財の移動の自由を戦争地域で得るための「税金」と見なしていたという。
2つ目の事案は、ISIS等からの原油購入を禁止したEUルール違反。訴状によると、同社はISISの活動地域近辺のサプライヤーから原油や原材料を購入したことが疑われている。また、ISISにセメントを販売した疑いもある。
3つ目の事案は、同社の現地従業員の生命を危険にさらした疑い。現地付近では他の仏企業はシリアから撤収したのに対し、同社がシリアでの工場操業稼働を続けたことが問題性があると見られている。
同社に関しては、すでに元CEOを含む経営幹部8人が、2011年から2015年までの間にテロリストへの資金供与と従業員の生命を危険にさらした罪で告発されている。
【参照ページ】LafargeHolcim informed of Lafarge SA being placed under investigation in France
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