金融庁証券取引等監視委員会は6月29日、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が国債先物市場で2017年8月に相場操縦が行われたと判断し、首相と金融庁長官に対し、金融庁設置法に基づく課徴金納付命令を出すよう勧告した。課徴金の金額は2億1,837万円。
監視委によると、同社のディーラー一人が、大阪取引所に上場されていた長期国債先物2017年9月限月で、2017年8月25日18時34分頃から同日19時9分頃までの間、相場操縦があったという。具体的には、約定させる意思がないのに、最良買い気配値以下の価格に多数の買い注文を発注する方法により、合計6,253単位の買付けの申込みを行うとともに、合計177単位を売り付ける一方、最良売り気配値以上の価格に多数の売り注文を発注する方法により、合計1,844単位の売付けの申込みを行うとともに、合計158単位を買い付けるなどした。それにより、市場デリバティブ取引が繁盛であると誤解させ、大阪取引所における同国債先物の相場を変動させた。この相場操縦で同社は158万円の利益をあげたと見られる。
監視委によるとディーラーは自分の取引で評価損を抱えていたといい、回復するために相場操縦をしたとみられる。日本取引所自主規制法人からの情報提供で実態調査し、不正が判明した。
今回の件は、日本取引所自主規制法人より提供された情報を参考に同委員会が実態解明を行った。証券会社による長期国債先物を対象にした相場操縦は初めて。課徴金額は、デリバティブに限ると過去最大となる。監視委は、当該ディーラーの個人の判断で相場操縦が行われたとみている。ディーラーは自分の取引で評価損を抱えていたようで、損を取り戻すために相場操縦をした模様。
今回の事件により、すでに同社の事業に影響が出始めている。7月に社債発行を目指していた東レやKDDI、東京ガスは事件発覚後に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を共同主幹事から除外。7月4日にも、日本政策金融公庫とオリックス不動産投資法人が債券発行の共同主幹事から三菱UFJモルガン・スタンレー証券を除外した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、三菱UFJ証券ホールディングス(三菱UFJフィナンシャル・グループ100%出資)60%、モルガン・スタンレー・jホールディングス40%出資の大手証券会社。
【参照ページ】三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社による長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について
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