米国務省人身取引監視対策部は6月28日、2018年版の「人身取引報告書(Trafficking in Persons Report)」を発表した。同報告書は略して「TIPレポート」とも呼ばれている。この報告書での「人身取引」とは、暴力、詐欺、威圧等の手段を通じて他人に労働や商業目的の性行為を強いる行為を指す。今回の報告書では、遠洋漁業船での長時間強制労働の事例や、性行為ビジネスに巻き込まれたLGBTIの若者等の事例が取り上げられている。
米国務省人身取引監視対策部は、米国の「2000年人身取引被害者保護法」(TVPA)第110条に基づき、この報告書を毎年報告している。報告書では、世界のほぼ全ての国を対象として、人身取引への関与度が小さい順に「Tier 1」「Tier 2」「Tier 2 Watchlist」「Tier 3」の4段階に分類している。作成にあたっては、ワシントンにある人身取引監視対策部のオフィスと各国の米国大使館が協力。さらに、各国官庁、NGO、宗教団体、専門家、国際機関等幅広い機関からも情報を収集している。
日本は、2001年のTIPレポート発行開始以来、常に「Tier 2」、ときには「Tier 2 Watchlist」に分類され、最高位の「Tier 1」は取れないでいた。しかし今回、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の批准、外国人技能実習制度での人権違反監視強化、内閣府がJK(女子高生)ビジネスへの対策に乗り出したこと等を評価し、初めて「Tier 1」となった。但し、性労働等の強制労働が、行政処分にとどまり、刑事事件として取り扱われることが少ない点は不十分だとし、あくまで最低基準を満たしたにすぎないと苦言も呈した。
【参照ページ】国務省、2018年人身取引報告書を発表
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