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【国際】世界のプラスチック廃棄物の60%を輸入してきた中国の輸入禁止措置。日本も対策必要

 米ジョージア大学のAmy L.Brooks研究員らは6月20日、学術論文誌「Science Advances」に掲載された論文「The Chinese Import ban and its impact on global plastic trade」の中で、中国が最近導入した廃棄物輸入規制により、2030年までに推計で1億1,100万tのプラスチック廃棄物が他の国々に輸出されるという見解を示した。

【参考】【中国】税関当局、密輸固形廃棄物を11万t押収。固形廃棄物輸入禁止を徹底(2018年4月5日)

 世界中のプラスチック廃棄物の年間輸出入量は1993年以降急増し、同年比で2016年には輸出が817%、輸入が723%と伸びた。一方、これまで世界最大のプラスチック廃棄物輸入国であった中国では、政府が2017年7月18日、世界貿易機関(WTO)に対し、2017年中に国外からのごみの輸入の規制を強化することを通知。その後、中国環境保護部は2017年12月29日、固形廃棄物の輸入を規制する新基準を発表し、プラスチック廃棄物の輸入が禁止された。

 今回の論文は、1988年から2016年まで28年間のプラスチック廃棄物の輸出入に関するデータを国連の「Comtrade Database」を基に分析し、世界の輸出入国データをまとめた。結果、世界の輸入国上位は、中国が世界全体の45.1%を占め首位。2位は同じく香港で27.3%。3位は米国で3.6%。4位はオランダで2.7%。5位はドイツで2.3%だった。一方、輸出国上位は、中国・香港が26.1%を占め首位。2位は米国で12.4%。3位は日本で10.3%。4位はドイツで8.2%。5位はメキシコで4.9%。今回の統計は、再輸出される廃棄物量も含まれている。再輸出される背景には、廃棄物が輸入基準外、輸入事業者の支払不履行、輸出国での注文キャンセル等がある。輸入したものが、自国で処理されたか再輸出されたまでは統計では判断できないとのこと。

 輸入データでは、中国と香港が別々となっているが、実際には香港は経由地となり中国に送られるため、世界の60%以上のプラスチック廃棄物は中国に集まっていた。今回。中国政府が輸入を禁止したプラスチック廃棄物は4種類あり、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、その他のプラスチックグループとされている。その他の中にはポリプロピレン(PP)やポリエチレンテフタレート(PET)等も含まれている。
 
 同論文では、「1988年以降、所得水準の高い国からのプラスチック廃棄物輸出が圧倒的に多く、全体の87%を占め、710億米ドルに相当」と分析。中国が輸入禁止をしたことで、今後自国でのプラスチック廃棄物処理を加速させる必要があると指摘した。また、全体の約40%を占める使い捨てプラスチック容器の使用低減と代替品の開発を早急に進める必要があるとも提言した。

 論文の発表では、プラスチック廃棄物の輸出世界第3位は日本。すなわち、日本もプラスチック廃棄物の処理を中国に押し付けてきたと言える。今後、新たなプラスチック廃棄物輸入国や輸入事業者の発掘に乗り出すとみられるが、一方でプラスチック廃棄物そのものの削減も待ったなしだ。

【論文】The Chinese Import ban and its impact on global plastic trade

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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