金融庁の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループは6月28日、企業情報開示のあり方に関する「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」を公表した。今後、金融審議会総会・金融分科会に報告される。同グループは2017年12月から検討・審議を実施していた。
同報告書では、米英での情報開示ルールや企業の開示内容と比較しつつ、日本企業の情報開示に関する課題と改善ポイントを整理した。
まず、2017年3月31日以降に終了する事業年度から有価証券報告書での開示が義務化された「経営方針・経営戦略等」の開示内容について、中長期的なビジョンに関する具体的な記載が乏しく、経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)やリスク情報との関連付けがない企業が多いと課題感を示した。また、MD&A開示についても、経営者視点による分析が不十分とした。
リスク情報の開示については、一般的なリスクの羅列になっているものや、数年間記載に変化がないものが多いと指摘。開示されているリスクと経営戦略やMD&Aとの関係が明確でなく、投資判断に影響を与えるリスク情報になりえていないとした。
役員報酬に関する開示については、「固定報酬、短期の業績連動報酬(賞与)、中長期の業績連動報酬(ストックオプション等)それぞれの算定方法や固定報酬と短期・中長期の業績連動報酬の支給割合、役職ごとの支給額についての考え方を定めている場合にはその内容など、報酬の決定・支給の方法やこれらに関する考え方を具体的に分かりやすく記載することを求めるべき」だと提言した。
政策保有株については、政策保有に関する方針、目的や効果を具体的かつ十分に説明し、政策保有株式の保有について、その合理性を検証する方法や取締役会等における議論の状況について開示するよう求めるべきだとした。さらに「個別の政策保有株式の保有目的・効果について、提出会社の戦略、事業内容及びセグメントと関連付け、定量的な効果(記載できない場合には、その旨と保有の合理性の検証方法)も含めてより具体的に記載することを求めるべき」と提言した。
欧州で法令義務化の廃止が進む四半期開示制度については、賛否両論あり、「現時点において四半期開示制度を見直すことは行わず、今後、四半期決算短信の開示の自由度を高めるなどの取組みを進めるとともに、引き続き、我が国における財務・非財務情報の開示の状況や適時な企業情報の開示の十分性、海外動向などを注視し、必要に応じてそのあり方を検討していくことが考えられる」としばらくは現状維持の考えを示した。
英文開示についても、有価証券報告書での開示内容が英訳化されていないことが多く、英語開示すべきだとした。
【参照ページ】金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告の公表について
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