アマゾン従業員が、同社のジェフ・ベゾスCEOに対し、同社が開発した顔認識技術「Rekognition」を警察等の法執行機関へ販売することに対する抗議を表明する書簡を送付したことが明らかとなった。米紙「The Hill」が書簡を入手し6月21日報じた。
近年、同様の抗議が、マイクロソフトやグーグル従業員からも表明されている。背景には、IT企業が開発する人工知能(AI)技術に政府が着目し、巨額の契約を持ちかけるようになっていることがある。2018年4月には、グーグルが米国防総省のドローン軍事活動の精度を上げるための機械学習プロジェクト契約を結んだことが発覚し同社が従業員が抗議を表明。同社はプロジェクト契約を更新しないことを決め、人権侵害を引き起こしうる協力は行わないガイドラインを発表した。
【参考】【アメリカ】グーグル、武器や過渡な監視に資するAI技術の活用を自主的に禁止(2018年6月15日)
マイクロソフトでは、同社が米移民・関税執行局(ICE)とデータ加工とAI研究で1,940万米ドル(約21億円)の契約を結んだことに対し、同社従業員100名がサティア・ナデラCEOに抗議する書簡を送付。すでに300名以上の署名も集まった。
アマゾンでは、顔認識システム「Rekognition」を開発した2016年以降、犯罪を起こす疑いのある人物を特定する手段として、法執行機関にマーケティング活動を開始。同システムはすでにオーランド警察署やワシントン郡保安官事務所に導入されている。従業員の書簡は、データサイエンス企業Palantirが移民税関執行局(ICE)のシステム運用に、アマゾンのクラウドサービスを利用していることも批判した。
アマゾンは今月、米人権NGOのアメリカ自由人権協会から「Rekognition」の警察機関への販売を禁止するよう要求されたが、「悪用される可能性があるからといって新たな有望な技術を禁止することは間違っている」と反論声明を発表。今回の従業員書簡に関してはまだコメントは出ていない。
【参照ページ】Amazon employees protest sale of facial recognition tech to law enforcement
【参照ページ】Microsoft Employees Protest Work With ICE, as Tech Industry Mobilizes Over Immigration
【参照ページ】AI at Google: our principles
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