コーヒーチェーン世界大手米スターバックスは5月29日、全米の直営約8,000店を5月29日に休業し、社員17万5,000任を対象とした人種差別防止研修を実施した。スターバックスのハワード・シュルツ会長は研修に先立ち、顧客向けの公開声明をホームページ上で発表した。以下、全文。
スターバックスは、29日の午後8000店舗以上を閉鎖し、その歴史に新たな一ページを刻みます。
私が初めてイタリアを訪れたのは1983年で、ミラノの街を歩けば、至るところにカフェやエスプレッソ・バーがあったのを覚えています。そして一つの店内に入って強く感じたのは、コミュニティや人と人との強いコネクションでした。
それに感銘を受け、アメリカに戻り、同じようなサード・プレイス-つまり、仕事場でも家庭でもない空間を提供する、新しいタイプの会社を立ち上げようと決めました。私が思い描いたのは、快適で安全な空間です。それは、誰もがコーヒーを楽しみ、座り、読書や書き物をし、ミーティングを開き、デートを楽しみ、時には議論をし、時にはただリラックスするだけという時間の使い方ができる場所なのです。
今では、毎週1億人のお客様がスターバックスを利用してくれています。しかし、創業当初に考えた、誰もが受け入れられていると感じられる場所でありたいという思いは一貫しています。
しかし、私たちは大きな間違いを起こすこともあります。
先日、フィラデルフィアの店舗で二人の黒人男性が店内で友人を待っていました。彼らは友人を待つ短い間商品を購入せずにいましたが、マネージャーが警察を呼び、彼らを逮捕したのです。一連の出来事は誠に非難されるべきもので、スターバックスの企業ミッションやバリューに沿ったものではありません。
なぜこのような事態に陥ったのか社内で精査し、私たちは従業員への支援や研修が不十分であること、そして、顧客を「店舗を訪れる全ての人」ではなく「企業に経済的に貢献する人」と定義する企業ポリシー、そして偏見の存在に課題を見出しました。ケヴィン・ジョンソンCEOは被害にあった男性らに直接謝罪し、これらの状況を改善するアクションを取ることを約束しました。
この出来事をきっかけに、私たちは人の意識の深いところに眠る偏見の存在を強く意識し、また、スターバックスがコミュニティで果たすべき役割を改めて考え、そしてこのようなことが二度と起きないようにすることを誓いました。その結果として、時間をかけて全社的にポリシーを見直し、現場レベルでのインクルージョンを進めるアクションを取ることになったのです。
その一環として、5月29日午後に店舗を一斉閉鎖し、およそ17万5000人の従業員に対して研修を実施します。研修では、参加者が人生の出来事を共有し、仲間のストーリーや専門家からの話に耳を傾け、社会に存在する偏見を見つめ、どのようにして誰もが帰属意識を持てる公共スペースを構築できるかについて話し合います。この対話は一度限りでなく、社内で継続的に続くことでしょう。
人種差別や偏見について話すのは決して簡単なことではありません。しかし、我々は多くの人の協力を得て、教育的で、参加者が積極的にエンゲージし、より良い企業に生まれ変わるための研修プログラムを作りました。まずは社内従業員間での腹を割った対話を進め、そして将来は内容を公開し、誰もが利用できるようにするつもりです。
スターバックスの従業員たちへ。研修の参加と、そして毎日の素晴らしい仕事をどうもありがとう。何百万人の顧客にとって、スターバックスはサード・プレイスだ。
スターバックスのお客様へ。忍耐強く、我々が40年以上前に思い描いた企業の姿に近づくのを見守ってくださってどうもありがとうございます。スターバックスは、全ての人々にとってインクルーシブな場所であるべきです。
ハワード
【参照ページ】An open letter to Starbucks customers from executive chairman Howard Schultz
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