欧州委員会は5月24日、サステナブルファイナンスの新たな法規制パッケージ案を発表した。今回のパッケージ案は、1月30日に欧州委員会の「持続可能な金融についてのハイレベル専門家グループ(HLEG)」の最終報告書発表、及び3月8日の欧州委員会のサステナブルファイナンスに関する新たなアクションプランを受けてのもの。サステナブルファイナンス分野での新たな法規制案を今後、EU理事会と欧州議会で審議し、2019年中の施行を目指す。
法規制案の骨子は全部で4つ。まず「サステナブル」の定義。EU法や政策における「サステナブル」についての定義を固め統一的な運用をするため、欧州委員会に企業や投資家による専門家グループを設置する。その上で、グリーンボンド等におけるEU公式のサステナブル・ラベルの設立を行う。
次に、投資家のフィデューシャリー・デューティーや情報開示ルールの整備。運用会社、保険会社、年金基金、投資コンサルタントが投資意思決定においてESG要素を考慮することをルール化する。法枠組みとしては、欧州委員会に詳細ルールを定める権限をEUとして認め、その後詳細ルールを欧州委員会が規定する。
また、EUとして、低炭素投資インデックスやポジティブ炭素インパクトインデックスを設定する。低炭素投資インデックスは、投資先企業の二酸化炭素排出量と、それに伴い投資ポートフォリオの二酸化炭素排出量を評価し、低炭素銘柄でインデックスを構成する。ポジティブ炭素インパクトインデックスは、パリ協定の2℃目標に資するポジティブな事業を実施する銘柄でインデックスを構成する。
そして、個人投資家にESG投資を活発化させるための新ルールの導入。個人投資家に投資アドバイスを行う金融機関に対し、ESG投資を実施する手法をアドバイスすることを促進する。具体的にはMiFID2(第2次金融商品市場指令)とIDD(保険販売業務指令)を改正し、投資パフォーマンスが同等の場合は、ESGへの配慮が大きい投資商品を推奨することをルール化する考え。
【参照ページ】Sustainable finance: Making the financial sector a powerful actor in fighting climate change
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