ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は5月21日、自動車やバスの電気自動車化(EV化)に関する分析レポートを発表した。BNEFによると、バッテリーコストの低下や大量生産により自動車やバスの電化は2020年代後半に急速に進む。そして、2030年までに、世界の軽量車両販売台数の28%が電気自動車に、バスについては84%が電気バスになるという。
世界の電気自動車(EV)の販売台数は2017年で110万台。今後、2025年には1,100万台、2030年には3,000万台に達する見込み。需要を牽引するのは中国で、2025年には世界のEV市場の50%、2030年には39%を占めると予想されている。一方で、ガソリン車やディーゼル車の販売は2020年代半ばから減少する。2040年にはEVの販売台数は6,000万台まで増えるが、それは世界の軽量車両の55%に達する量だ。
今回のレポートでは、輸送手段のEV化は、自動車よりもバスで早く進むとされるとした。理由は、2019年までに、ほぼ全てのタイプの電気バスが従来型バスよりコスト競争力を持つため。2017年の電気バス市場の99%を占める中国では、すでに30万台の電気バスが走っており、中国以外でも電気バスの利用は拡大。2020年代後半には電気バスが世界市場の主軸となると予測した。さらに、2040年には世界のバスの80%が電気バスとなるとした。
このような市場の変化は、電気需要と石油需要にも大きなインパクトをもたらす。BNEFは、2040年までにEVと電気バスの電力需要は2000TWhとなり、総電気需要を6%増加させると予想。一方、内燃機関型の自動車の減少により、一日あたり730万バレルの燃料需要がなくなるという。
電気自動車への需要はこのように底堅いものの、リスクも存在する。一つはバッテリーに使用されるリチウムやコバルトの需給の逼迫で、2020年代前半にはバッテリーコスト低下の勢いが鈍化する可能性もある。また、長期的には、バッテリー充電施設の普及速度やシェアード・モビリティの広がりが電気自動車の拡大に大きな影響を及ぼす。現在、シェアード・モビリティの自動車数は500万台に過ぎないが、2040年には2,000万台に増加する。そのうち90%が低コストの電気自動車で、また40%が自動運転になるとも予想した。
しかし、電気自動車の普及スピードは地域毎に異なる。2030年時点で、欧州の軽量車両販売台数の44%、中国では41%、米国では34%、日本では17%がEVになるとされる。一方でインドでは充電設備の不足や価格帯の問題から普及は遅く、2030年時点では7%に留まる。
こうした背景から、バッテリーメーカーは追い風で、市場を独占している中国メーカーの生産能力シェアは、2018年の合計59%から2021年には73%にまで増加するとみられる。
【参照ページ】E-Buses to Surge Even Faster Than EVs as Conventional Vehicles Fade
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