欧州委員会は4月27日、世界的に最も広く使用されているクロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムの3種類のネオニコチノイド系殺虫剤の屋外使用を全面的禁止を決定した。今年中に施行される。例外的に認められるのは密閉型の温室のみ。蜂等の送粉者保護が目的。同日にEU加盟国も同ルールに賛同し、導入が決まった。
【参考】【イギリス】ネオニコチノイド系殺虫剤が蜂の大量減少に関連。科学論文発表(2016年9月4日)
送粉者の役割を果たす昆虫は、全作物の4分の3の受粉を担っており、世界の食糧生産には不可欠の存在。しかし、近年、送粉昆虫の数が減少しており、殺虫剤が一因とみられている。EUは2013年に、とうもろこし、菜種等の蜂を引きつける開花作物に限定してネオニコチノイドの使用を禁止。しかし、2018年2月に発表された欧州食品安全機関(EFSA)の報告書は、あらゆる屋外での殺虫剤の使用は、土壌と水を汚染する原因になっており、ミツバチと野生種のマルハナバチの両方に対し高いリスクに繋がっていると結論づけた。
ネオニコチノイドは、文字通り「新しいニコチン系殺虫剤」を意味し、昆虫の中枢神経に作用して麻痺や死に至らせる。害虫の駆除だけでなく、蜂の記憶喪失や女王蜂の減少、蜂の巣の崩壊等、世界的に悪影響を及ぼしていると指摘されている。ドイツの別の研究では、同国の全飛行昆虫の75%が消滅し、「エコロジカル・ハルマゲドン」が発生しているとを警鐘を鳴らしている。
今回の決定には、環境NGOがらが歓迎する一方、殺虫剤メーカーや一部の農業団体は、EUの決定が用心深過ぎると非難し、作物生産量が減少する可能性があると指摘している。また、EUが現時点でリスクが低いとして規制していないネオニコチノイド系のアセタミプリドと、安全性の再評価を実施中の同系チアクリプリドが代替製品のなった場合に、果たして持続可能な農業に繋がるのかを疑問視する声もある。
【参照ページ】Neonicotinoids
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら