世界経済フォーラム(WEF)は4月23日、ブロックチェーン技術導入の当否を判断するフレームワークを公表した。同フレームワークは、インペリアル・カレッジ・ロンドンの分析を基に、2017年にWEFのGlobal Future Council on blockchainが策定。2018年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でもCEO参加のワークショップで議論し、今回最終版が公表された。
WEF Global Future Councilは、大学、政府、企業、NGO等が参加する学際的な検討機関。年一回の年次会議を開催し、それ以外もオンラインで会合が年数回開催されている。ブロックチェーン分科会は、元エストニア大統領とブロックチェーン技術世界大手米Bitfury Groupの最高コミュニケーション責任者の2人が共同議長を務め、その他、インペリアルカレッジ・ロンドンや清華大学等の教授、Hyperledger、R3CEV等のブロックチェーン企業、マスターカード、ドイツ銀行等の企業から23人が委員として活動している。
今回発表の報告書は、ブロックチェーンを取り巻く環境が昨今混沌とする中、全ての問題はブロックチェーンで解決できるとする提唱者の言説を批判。意思決定者がコストやセキュリティ、規制等のリスクを長期的に十分考慮することの重要性を強調した。同フレームワークでは、特定の問題や分野についてブロックチェーンが有用か否かを分析するための枠組み。
特定のデータベースを持たずに取引の制御管理ができるブロックチェーンだが、その中でも、認証不要のパブリックシステム、認証を要するプライベートシステム、または中間に分類される。各々に有用性と制約があり、慎重に検討することが求められる。一般的に、非集権的な仕組みを推進すればするほど、取引のスピードは落ちるとした。
同フレームワークは、11項目の質問による決定木(デシジョンツリー)の形式をとっている。ブロックチェーンの活用について「活用は非効率」「機能いするが要調査」「パブリックシステムの使用を推奨」「プライベートシステムの使用を推奨」等の分類に導かれる。同報告書では、ホログラム・CG業界と医療保険業界の2つ例も紹介。具体的に同フレームワークをどのように適用するかを解説した。
今後、世界経済フォーラムの「第四次産業革命センター」が、業界毎や使途毎のフレームワークも公表する予定。
【参照ページ】Blockchain Beyond the Hype
【参照ページ】The Future of Blockchain
【レポート】Blockchain Beyond the Hype. A Practical Framework for Business Leaders
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