消費財世界大手米SCジョンソンは4月19日、2017年のサステナビリティ報告書「The Science Inside」を発表した。同報告書の中で、同社製品の含有成分の透明性を図る「グリーンリスト・プログラム」の進捗状況を公表した。同社のフィス・ジョンソン会長兼CEOは、「天然由来の原料が人工的な原料より品質がよいとは限らない」という考えを強調。成分精査の対象は全原料を対象としている。
グリーンリスト・プログラムは2001年に開始され、人間の健康と環境への潜在的な影響を、ハザードとリスクの両方の観点から、成分を精査・評価している。ハザードは危険性・有害性の状況、リスクはハザードが実際に人間や環境に悪影響及ぼす状態のこと。同プログラムは、カリフォルニア州規制「CAプロポジション65」、国際がん研究機関(IARC)、米環境保護局(EPA)、米労働安全衛生局(OSHA)、EU等による安全基準に加え、同社独自の基準を専門会レビューにより設定し、安全性を一段と厳しくしたチェックを実行している。年に一度約4,600種類の原料の成分評価の見直しも行っている。
同プログラムには、4つのステップを設け、詳細な選択基準を設定している。ステップ1の対象は、発がん性、生殖・発達への悪影響、突然変異や内分泌撹乱等の原因物質。ステップ2は、生物濃縮性をもつ有毒な難分解性化学物質。ステップ3は、口腔・皮膚・呼吸器等に対して有害で、急性疾患の原因となる物質と環境に悪影響を及ぼす物質。ステップ4は皮膚アレルギーを誘発する物質。
これらプロセスを経て、各原料には4(最高レベル)から0(最低レベル)までの格付が付与。0格付の原料は、法律的な基準を満たすとしても、同社の製品から除外される。すでに同社が設定した除外リストには、約90のカテゴリーの200種以上の原料と2400種以上の香料原料が掲載されている。
2009年に立ちあげた「WhatsInsideSCJohnson.com」では、グリーンリスト・プログラムを含む様々な情報を開示し、全般的な透明性向上を行っている。2017年5月からは、製品中に存在する可能性のある368種の皮膚アレルゲンを製品別に掲載。米国ではアレルゲンの透明性に関する規制がないが、同社はEU規制をも超える開示基準を設けており、注目されている。さらに同年秋には、アジア太平洋地域に透明性を浸透させ、現在は50カ国以上の消費者に5,300以上の製品の包括的な情報を提供している。
同サステナビリティ報告書では、その他環境面についても、進捗を発表。 工場の65%以上ではすでに埋立廃棄物ゼロを達成しており、2021年までに全施設でゼロにする予定。2000年以来、二酸化炭素排出量を55%削減。2020年までには2015年比で15%、5年間で15,000万tの二酸化炭素排出量を削減する見通し。再生可能エネルギー利用では、2017年度には全エネルギー消費量の35%を再生可能エネルギーで調達した。2017年5月には、米ミシガン州ベイシティのジップロック(Ziploc)工場が同社として3番目の再生可能エネルギー100%事業所となった。
【参照ページ】SC Johnson Sets A New Standard in Transparency
【報告書】The Science Inside
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