世界銀行グループは4月21日、総務会の開発委員会を開催し、130億米ドル(約1.4兆円)の増資を発表した。世界の貧困問題への対処能力を向上する。増資内訳は、国際復興開発銀行(IBRD)が75億米ドル、国際金融公社(IFC)が55億米ドル。詳細プランは、6月末に総務会に提出され、最終的に2018年の年次総会で承認される見込み。
増資は、一般増資(GCI)と選択増資(SCI)の双方が用いられる。またIBRDは別途、526億米ドルの請求払資本の設定も実施した。これら資本拡充は、業務改革、有効性拡大に向けた改革、貸出金利等手数料の改定、組織改革等に投じ、発展途上国の支援インパクトを向上させるために用いる。
開発委員会は同時に、今年初めに提出された「投票権見直しに関する報告書」の内容も承認した。同報告書は、新興国や途上国の投票権を拡大するため、出資比率や投票権比率の修正を提案したもの。今回の修正により、IBRDの投票権比率が、出資額第1位の米国は15.98%から15.87%に、第2位の日本は6.89%から6.83%に減少。第3位の中国は4.45%から5.71%に大きく上昇した。ドイツは4.04%から4.07%に、英国とフランスは3.78%から3.73%に変更。インドは2.93%のまま。
加えて、出資国は、世界銀行グループが掲げる「極度の貧困の撲滅」と「繁栄の共有の促進」の二大目標と、Forward Look報告書が掲げる「全ての被支援国との関与の継続」「国際公共財アジェンダの主導」「資金動員と市場創出」「開発効果や組織内業務モデルの継続的改善へのコミットメント」を改めて強調した。
世界銀行グループは2016年12月、同じく世界銀行グループの最貧国支援機関・国際開発協会(IDA)の第18次IDA増資(IDA18)で巨額の増資に成功。さらにIDAとして初となる債券発行や、多数国間投資保証機関(MIGA)の資本基盤強化等を実現し、増資について出資国の理解が得られた形。米トランプ政権は当初、増資に反対の意向だったが、世界銀行の融資改革に伴い増資を支持した。米国の出資には米連邦議会の承認が必要。世界銀行によると、今回の増資が実現すれば、世界銀行グループ全体の資金力は、2019年度から2030年度の間、年間で平均約1,000億米ドル(約11兆円)に達する。
【参照ページ】世界銀行グループ出資国、根源的改革を含む資本パッケージに合意
【報告書】投票権見直しに関する報告書
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