日本政府は4月17日、第5次環境基本計画を閣議決定した。環境基本計画は、環境基本法に基づき、政府の環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱等を定めたもの。同計画は、環境省の中央環境審議会の答申を受け同省が作成した。同計画は概ね6年毎に更新されており、前回の第4次環境基本計画は2012年に策定。今回の基本計画は、パリ協定発効や国連持続可能な開発目標(SDGs)制定等の内容を盛り込んだものとなった。
今回の基本計画では、分野横断的な6つの重点戦略分野を設定した。
- 経済システム:環境ビジネス拡大、ESG投資の普及、税制のグリーン化、サービサイジング、水素サプライチェーン等
- 国土価値向上:気候変動対応、Eco-DRR、森林環境税、コンパクトシティ、海洋プラスチックごみ対策等
- 地域づくり:地域での環境金融拡大、国立公園を軸とした地域再生、都市と農村の共生、エネルギー資源を活かした収支改善等
- 豊かな暮らし:持続可能な消費行動、食品ロス削減、低炭素住居、テレワーク、地方移住・二地域居住等
- 技術開発:再エネ由来水素、浮体式洋上風力、自動運転やドローン等の物流革命、バイオマス由来化成品、AI活用の生産最適化等
- 国際貢献:環境インフラの輸出、気候変動適応支援、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」、ソリューション輸出等
第5次基本計画では、今後日本が目指す姿として「『世界の範となる日本』の確立」と謳った。環境基本計画は、大きな政策方針を定めたもののため、具体的なスケジュールや目標は設定されていない。現在、必要とされている重要分野を一通り盛り込んだ形だが、今後本当に世界をリードできるかは、目標設定とそれに向けた着実な前進が求められる。
【参照ページ】第五次環境基本計画の閣議決定について
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