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【ドイツ】電力大手E.ONとRWEが生き残りかけ企業再編。再エネへの転換に乗り遅れ赤字体質化

 独電力大手E.ON(エーオン)と独電力大手RWEは3月12日、子会社買収等を含む複雑なM&Aを発表した。欧州では電力業界の生き残りが熾烈を極める中、両社は事業を再編し戦略を立て直す。E.ONとRWEは欧州規模で事業展開するドイツの二大電力会社だが、昨今経営が傾いていた。2019年末までに買収手続を完了する。

 今回のM&Aにより、E.ONはRWEが保有している子会社innogy(イノジー)株式76.8%を全て買収し、さらにイノジーの少数株主の株式を50億ユーロ(1株40ユーロ)で株式公開買付(VTO)を実施。イノジーを子会社化する。イノジーは2016年4月にRWEの再生可能エネルギー発電事業部門と電力小売部門が分社化する形で設立。同10年にフランクフルト証券取引所に上場している。イノジーの株主価値は約220億ユーロ(約2.9兆円)と算出。負債を含めた企業価値は約430億ユーロとなる。

 一方、今回の合意により、売却したイノジー保有の再生可能エネルギー事業とE.ON自身の再生可能エネルギー事業は全てRWEに移管される。さらにRWEは、E.ON株式の16.7%を獲得しつつ、E.ONに15億ユーロ支払う。E.ONはすでに再生可能エネルギー事業以外の火力・水力・原子力発電事業を分社化してUniperを設立し、今年1月8日に同社をフィンランドの電力大手フォータム(Fortum)に売却することで正式に合意に達しており、現在、再生可能エネルギー事業と電力配送電・小売事業だけが手元にある。そのため、今回のM&Aが手続を完了すると、E.ONとRWEの再生可能エネルギー事業は全てRWEに集約され、両社の配送電及び電力小売事業がE.ONに集約されることになる。

 E.ONは今回の会社再編により、再編後の従業員7万人のうち5千人の人員削減を発表すると同時に、今後数十年で、数千人の新規雇用を創出できると強調。2022年までに年間で6億から8億ユーロのシナジーを見込む。これにより信用格付BBBを維持したい考え。

 一方RWEは、人員削減しないが、再生可能エネルギー事業を増強することで、キャッシュフローの増加を見込む。RWEの再生可能エネルギー発電事業は再編後2,500人規模となる。これにより同じく投資適格格付を維持したい考え。

E.ONとRWEは、2010年頃までは欧州の中で高収益を叩き出す電力事業者だった。しかしその後、従来型の発電への依存を続け再生可能エネルギーの普及というエネルギー転換の波に乗り遅れた結果、発電シェアを落とすとともに収益性が悪化。昨年には両社とも大きな赤字を出すに至っている。

【参照ページ】E.ON and RWE: two European energy companies focus their activities

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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