米アップルは3月7日、2018年のサプライヤー責任進捗報告書「Supplier Responsibility Progress Report 2018」を発表した。同報告書の発表は、2007年に開始し今年が12年目。アップルは、サプライヤーに対し環境や労働分野の改善に取り組んでおり、毎年改善の進捗状況を開示している。
アップルは2017年、同社のサプライヤーの95%をカバーする30ヶ国の企業に対し756の監査(通称、アップル監査)を実施。そのうち26%は2017年に初めてアップル監査を受けた。アップル監査では、労働・人権、安全衛生、環境の3つの観点からサプライヤーが評価される。2017年の結果では、高パフォーマンス評価を受けた企業が35%。一方、低パフォーマンス評価を受けたのはわずか1%で、昨年から71%減少した。
環境面では、iPhoneの全最終組立工場で埋立廃棄物ゼロを達成。再生可能エネルギーでの事業運営を進める「Supplier Clean Energy Program」では、すでにサプライヤー16社が再生可能エネルギー100%での事業運営を目指すコミットメントを宣言している。2017年単年では、再生可能エネルギー利用拡大と省エネ改善で、サプライヤー合計で32万tの二酸化炭素排出量を削減した。2020年までに再生可能エネルギー設備容量を4GWにまで高める。
労働面では、2017年にサプライヤーの女性従業員を対象とした健康への意識向上を目指すプログラムを発足。女性が自身の健康により気を配るだけでなく、プログラムを通じて得た知識を家族やコミュニティにも広めることを狙っている。プログラムは、まずインドと中国の事業所で実施され、がんの早期発見のための自己検診方法、栄養、パーソナルケア、母体の健康などのセミナーを開催。2020年までに100万人の女性従業員の知見を高めることを目標としている。
また、昨今サプライヤーでは、工場ラインを任せられる管理職不足が課題となっている。そのためアップルは、大手サプライヤー及び北京師範大学と共同で教育プログラム「工場ライン・リーダー・プログラム」を展開。受講者は、アップルのサプライヤーでインターンシップが受けられるだけでなく、フルタイム雇用の機会も与えられる。サプライヤー従業員の学位取得も支援しており、過去10年で1万2,000人が学位を取得した。
【参照ページ】Apple releases 12th annual Supplier Responsibility Progress Report
【レポート】Supplier Responsibility Progress Report 2018
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