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【EU】EU理事会、2021年から2030年までのEU二酸化排出権取引制度改革案承認、成立

 EU理事会(上院に相当)は2月27日、2021年から2030年までのEU二酸化炭素排出権取引制度(EU-ETS)改革法案を正式に承認した。2030年までに二酸化炭素排出量40%以上削減を掲げるEUにとって、2030年までのEU-ETSは大きな政策の柱。欧州委員会は2015年7月に初めて改革案を示していたが調整が難航。2017年11月にEU理事会と欧州議会(下院に相当)がようやく暫定合意に達し、2月6日は同改革法案は下院を通過。今回、EU理事会が承認したことで、正式に成立した。同改正法は官報掲載の20日に施行される。

【参考】【EU】欧州議会とEU理事会、EU排出権取引制度強化で合意。法改正手続開始(2017年11月25日)

 今回の制度改革では、排出削減を加速化し、排出権市場における中央銀行のような役割を果たす「市場安定化リザーブ」を強化し排出権価格の低水準を解消するための大規模な制度改革が導入された。

  • 排出権割当総量(キャップ)を毎年2.2%ずつ削減
  • 排出権市場における中央銀行の役割を果たす「市場安定化リザーブ(MSR)」の行使可能額を2023年まで暫定的に倍増
  • 「市場安定化リザーブ(MSR)」に一定以上吸収された排出権の権能を制限する新メカニズムを2023年に導入

 また、炭素リーケージリスク(EU以外の地域に炭素消費がシフトするリスク)等に対する経済保護措置等も同時に改正した。

  • オークションされる排出権割合を57%とし、セクター間是正ファクターが適用される場合には同割合は54%に引下げられる
  • 排出権の無償割当制度を改定。企業の実生産レベルに沿うものにし、割当量決定に算出方法も更新する
  • 生産活動がEU域外に流出するリスクが高いセクターは排出権の無償割当を受ける。リスクがより少ないセクターの無償割当率は30%に設定し、2026年以降徐々に削減する。但し、地区暖房セクターは除く
  • EU加盟国は引き続き炭素コスト等の助成政策を展開できるが、報告の透明性は強化される

 EU-ETSは、EU加盟国、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーを対象とし、重化学工業と電力事業者の11,000事業所及び対象国間の航空便に対して適用。毎年、排出枠が設定され、排出枠を下回った余剰分は売却でき、反対に上回った分は購入しなければならない。対象事業所と航空便の排出量は、EU全体の45%を占めており、2020年までに2005年比で21%の削減を目指している。

【参照ページ】EU Emissions Trading System reform: Council approves new rules for the period 2021 to 2030

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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