EU司法府、欧州司法裁判所(ECJ)は2月27日、EUモロッコ漁業協定について、モロッコが実効支配している西サハラ地域に対しては効力を持たないとする判決を下した。ECJは2016年12月に、1996年2月26日調印し2000年3月1日発効したEUとモロッコ間の自由貿易協定「EUモロッコ連合協定」について、西サハラ地域に対しては適用されないという見解を示していたが、漁業協定については判決の対象外だった。今回初めて、加盟国裁判所からの付託に基づき、EUの国際条約における西サハラの法的地位について判断が下された。
西サハラ地域の扱いについては、欧州の投資家の間でも判断がわかれており、投資先企業が西サハラ地域で実施する事業やプロジェクトに対し合法と違法のいずれとみなすか共通のガイドラインがなかったが、今回ECJが漁業協定についても適用外とみなしたことで、西サハラ地域での事業の見方はますます厳しくなりそうだ。
今回の裁判は、西サハラ地域の独立国家を主張しアルジェリアに亡命している「サハラ・アラブ民主共和国」の英支援団体「西サハラキャンペーン(WSCUK)」が起こしたもの。EUモロッコ漁業協定が西サハラに適用されていたことを不服とし、英歳入税関庁コミッショナーと環境・食糧・農村地域相を相手取り英裁判所に提訴。英高等法院(イングランド・ウェールズ)は、EU法に関する内容として、ECJに案件を付託していた。一方、2016年12月の判決は、欧州理事会決議の無効を訴え西サハラ地域の独立武装勢力ポリサリオ戦線が欧州理事会や欧州委員会と協議。欧州理事会が公式な簡易プロセスを通じて、ECJに対する判断を委ねた経緯がある。
【参照ページ】The Fisheries Agreement concluded between the EU and Morocco is valid in so far as it is not applicable to Western Sahara and to its adjacent waters
【参照ページ】The Association and Liberalisation Agreements concluded between the EU and Morocco are not applicable to Western Sahara
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