腐敗・汚職防止に取り組む国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルは2月21日、2017年の「腐敗認識指数(Corruption Perception Index:CPI)」を発表した。同指数は、各国の政治家と公務員の腐敗関与に関する認識を数値化しランキングしたもの。1995年から発表を開始し、今回が18回目。0から100までのスコアで表され、0に近いほど汚職・腐敗度が高い。今年は180ヶ国・地域が調査対象。スコアは過去2年間の腐敗認識を調査・評価したもので、12機関による13種類のデータを用いている。
今年度の結果からは、過去6年間、多くの国で汚職・腐敗防止の努力がほとんどなされていないか全くないことが明らかとなった。特に憂慮すべきは、言論の自由やNGOや市民組織の活動が保護されていない国ほどCPIが低い点。全180ヶ国・地域の平均CPIは43。3分の2の国・地域が50以下だった。コートジボワールやセネガル、英烏哭のように過去6年間でCPIが改善した国がある一方、シリアやイエメン、オーストラリアはCPIが下がった。
2017年の高CPI国
- ニュージーランド(89)
- デンマーク(88)
- フィンランド(85)
- ノルウェー(85)
- スイス(85)
- シンガポール(84)
- スウェーデン(84)
- カナダ(82)
- ルクセンブルク(82)
- オランダ(82)
- 英国(82)
2017年の低CPI国
- ソマリア(9)
- 南スーダン(12)
- シリア(14)
- アフガニスタン(15)
- イエメン(16)
- スーダン(17)
- リビア(17)
- ギニアビサウ(17)
- 赤道ギニア(17)
地域別では、最もスコアが高いのは西欧諸国で平均66、逆に低いのはアフリカのサブサハラ諸国(平均32)、東欧・中央アジア(平均34)。日本は20位で昨年より2つ順位を落とした。米国16位、フランス23位、台湾29位、韓国51位、イタリア54位、中国77位。
また、トランスペアレンシー・インターナショナルは、ジャーナリスト保護委員会のデータを用いて、CPIスコアと言論の自由やNGO・市民組織の活動状況の関係についても分析した。2012年以降のジャーナリスト殺害のケースのほとんどが低CPI国で起きている。9割のジャーナリスト殺害事件はCPIスコアが45以下の国で起こり、また殺害された5人に1人は汚職・腐敗に関する特集を担当していた。例えばブラジルのスコアは37で、過去6年で20人ものジャーナリストが殺害されている。
CPIと市民組織の活動の自由の関係については、非営利団体World Justice Projectのデータを用いて分析された。結果、市民組織の活動が制限されている国ほどCPIが低いことが分かった。例えばハンガリーのCPIスコアは2012年の55から2017年は45まで悪化。現在議会で検討されている法案が通過するとNGOの公益団体としてのステータスが剥奪されるリスクがある。ハンガリーでは過去NGOの資金集めを制限するような制度が法制度化されており、状況の悪化が懸念されている。
【参照ページ】CORRUPTION PERCEPTIONS INDEX 2017 SHOWS HIGH CORRUPTION BURDEN IN MORE THAN TWO-THIRDS OF COUNTRIES
【ランキング】CORRUPTION PERCEPTIONS INDEX 2017
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