米カリフォルニア州上級裁判所(地方裁判所に相当)は2月15日、チョコレートに含まれる鉛とカドミウムの警告に関するNGOと関連企業との協議に関する和解案を承認した。焦点となったは同州の規定「プロポジション65」に基づくもので、オークランドに本部を置くNGOのAs You Sowが、一定レベル以上の鉛とカドミウムが含まれる製品には警告ラベルの貼付が必要だと主張。チョコレート業界の代表者たちと何年も話し合いを重ねていた。州裁判所が承認したことで、今後同ルールが同州での正式ガイドラインとなる。
「プロポジション65」は、カリフォルニア州法「1986年安全飲料水および有害物質施行法(Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act)を指し、人体への有害な化学物質への暴露を防止するための全米で最も厳しいルール。明確な対象製品の指定はないが、飲料水や食物を介した経口暴露、化粧品等による経皮暴露、環境中の有害化学物質による人体への暴露が適用対象となっている。発がん性、発育毒性、生殖毒性をもつ900種以上の対象物質リストがウェブ上で公開されており、製品のパッケージに警告ラベルの貼付が必要とされる規定が明記されている。
今回の和解の内容では、まずチョコレートに含まれる鉛とカドミウムの発生源を特定するための共同調査を実施。専門家チームによる調査結果と提言は公表される。提言には、チョコレートに含まれる鉛とカドミウムを有意に削減するための方策を盛り込むことができる。報告書内容に基づき、As You Sowと企業側は再び協議を進める。また和解には、チョコレートに含まれるカカオの割合及び鉛とカドミウムの含有レベルに基づき、「プロポジション65」下での具体的なラベル表示義務基準を設定することでも合意した。
As You Sowとの協議を進めてきたチョコレート関連企業は、バリーカレボー(米国)、ブロマーチョコレート、カーギル、ギタード、ハーシー、リンツ&シュプルングリー(北米)、マース、モンデリーズ、ネスレ(米国)等。カリフォルニア州上級裁判所は、同州でチョコレート製品を製造・販売する他の企業に対し、自発的に今回の合意内容を受け入れる場合は、同協議に参加することを認めた。全米菓子協会(NCA)チョコレート評議会のジェリー・ハ-ゲドルン議長は和解案について、消費者と小売業者にとっても有益だと評価した。
ジェトロ(日本貿易振興機構)によると、有害化学物質に関して、米国では連邦レベルより州レベルで厳しい規制を設けている場合があり、特にカリフォルニア州の規定は一般的に非常に厳しい内容となっている。日本の企業でも海苔から鉛が、チョコレートからカドミウムが、化粧品からコカミドジエタノールアミンが検出され、対処を求められたケースが近年発生しているという。
【参照ページ】COURT ESTABLISHES GUIDELINES FOR CHOCOLATE SOLD IN CALIFORNIA
【参照ページ】ジェトロ(日本貿易振興機構) 米国におけるヒ素および有害重金属等の規制に関する情報
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