デンマーク最大の職業年金基金「デンマーク年金生活ファンド(PKA)」は2月5日、要注意先として対話を進めている投資先企業名を公表した。機関投資家としての透明性向上の一環。石油ガス企業64社については2018年に「次の段階に進めるか決定する」と発表。投資引揚げ(ダイベストメント)と見られている。PKAの運用資産総額は2,750億デンマーククローネ(約50兆円)。
PKAは2017年8月、株主総会での議決権行使結果の公表を開始。さらに今回、PKAの対話先企業一覧と、PKAの投資ガイドラインに抵触するため観察下にある企業一覧を公表した。PKAは、投資先企業に働きかけ長期的な価値創出を促すことを最優先に置いている。しかし投資先企業に変化の兆しがない場合、当該企業への投資引揚げ・新規投資禁止を決定している。現在、対話中の企業は234社。2017年には32社の投資引揚げ・新規投資禁止が決まった。
現在投資除外されている分野は、問題兵器、たばこ、気候変動や環境への悪影響、人権侵害への関与、労働権侵害への関与、コーポレートガバナンスの欠如の6つ。この中には、日本たばこ産業(JT)、東京電力、沖縄電力、四国電力、オリンパスの5社も含まれる。また観察下にある企業は14社あり、日本の電源開発(Jパワー)、フォルクスワーゲン、テスラ、グレンコア、ウィルマー・インターナショナル、タタ・モーターズの名前が並ぶ。
対話を進めている234社では、64社が石油ガス関連企業。エクソンモービル、BP、ロイヤル・ダッチ・シェル、スタトイル、エネル等が含まれる。日本企業では、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、三菱商事、三菱自動車、旭化成、キヤノン、ファナック、富士フイルムホールディングス、関西電力、キリンホールディングス、京セラ、任天堂、日産自動車、野村ホールディングス、NTTドコモ、パナソニック、セブン&アイ・ホールディングス、ソニー、スズキ、東レ、東芝、トヨタ自動車等。他には欧米のグローバル大手企業も多数名前が挙がっているため、対話先が必ずしも問題が多いというわけではなさそう。しかし、気候変動・環境テーマでの対話先となっている製造業や電力会社は注意が必要だ。対話では、ハーミーズEOSが協力している。
【参照ページ】PKA: større åbenhed om ansvarlighed
【リスト】Ansvarlighed er vejen til gode pensioner
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