エネルギー世界大手米シェブロンは2017年12月14日、カリフォルニア州民から気候変動対策費用の負担を求めサンフランシスコの連邦地方裁判所に訴えた案件で、同裁判所に対し、同社には責任がないと主張すとともに、ノルウェー石油大手スタトイルを相手とする第三者訴訟の訴状を提出した。米国では、被告が裁判に第三者を巻き込むため、第三者訴訟を起こすことがある。
スタトイルは、世界30か国で事業展開する世界最大のオフショア掘削事業者。シェブロンの見積もりによると、米国だけで日量251,000バレルの石油生産を行っている。シェブロンは、スタトイルの米国での大規模生産・販売状況を踏まえ、訴訟でシェブロンに賠償責任が生じた場合にスタトイルに賠償の一部を転嫁する考え。米国の司法専門家の中には、今回の第三者訴訟を、シェブロンの単純な賠償負担の緩和だけでなく、業界全体に話を持ち込む意図があるとみる向きもある。
米国では2018年1月末までに、州や市等9つの自治体が、エネルギー大手に対する気候変動訴訟を起こしている。最も新しいものは、シェブロンの事業所があるカリフォルニア州リッチモンドで、シェブロンの他28社を訴えた。同訴訟の原告団は、1965年から2015年までに排出された二酸化炭素のうち、17.5%(215.9Gt)が被告企業によるものであり、海面上昇と関連する数々の被害への賠償責任があるとしている。
カリフォルニア州の気候変動研究機関Climate Accountability InstituteのRichard Heede研究員は2013年発表の論文の中で、産業革命以降1751年から2010年までの二酸化炭素排出量の3分の2は、世界90社にもたらされたと結論づけた。90社には官民両方の企業や、中国や旧ソ連の国営企業が含まれている。同氏によると、排出割合はシェブロンは3.52%と首位で、一方スタトイルは0.3%とトップ20圏外。シェブロン以下の上位企業は、エクソンモービル、サウジアラムコ、BP、ガスプロム。
【参考ページ】Chevron Wants More Companies Blamed in Climate Liability Cases
【参考ページ】Fighting 'Misguided' Lawsuits, Chevron Shows It Can Play The Climate Change Blame Game Too
【訴状】Case 3:17-cv-06012-WHA
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