ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン政権が、太平洋島嶼国からの気候変動難民受入れを検討している。導入されると気候変動難民ビザを発給する世界初の国となる。
ニュージーランドでは、2017年9月23日に総選挙が行われ、前与党国民党が56議席で第1党を維持したものの、アーダーン党首率いる労働党が46議席で国会第2党に躍進。年10月19日にニュージーランド・ファースト党(9議席)との連立政権樹立で合意。さらに、少数連立与党が組閣するための英国由来の制度である「Confidence and supply(議会で信任投票と財政使用権の承認を行う決議)」で緑の党(8議席)が支持に回り、アーダーン労働党党首を首相とする内閣が誕生した。
気候変動難民受入れは、連立政権を支持している緑の党の公約で、対象難民100名へのビザ発給を約束した。緑の党のジェームズ・ショー党首は、新政権の気候変動問題担当閣外相に就任。また同党は、ニュージーランドの難民受入数総数を年間750人から、今後6年間で4,000人にまで増やすことも提案している。
緑の党が掲げる気候変動難民の受入れは、ニュージーランドの移民保護審判所が、ツバルの2家族が、海面上昇、衛生的な飲料水へのアクセス難、同国の高い失業率を理由に出した難民申請を棄却したことを受け発案された。移民保護審判所は、1951年採択の「難民の地位に関する条約」では、難民と定義されているのは人種や宗教、国籍、特定の政治や宗教グループへの所属を理由に迫害されている人々とし、申請を棄却した。また、以前にもニュージーランドでは、キリバス出身の男性が同様の理由で難民申が却下された例もある。男性は翌年に本国送還された。
気候変動難民受入れの論点は、これらの難民が母国に再び戻って暮らし続けることを法的に認めるかどうかにある。また、気候変動による影響度合いも論点となりうる。
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