ノルウェーの保守党と進歩党、自由党の与党3党は1月初旬、連立協議の中で、2025年まで国内の毛皮牧場を閉鎖する方針で合意した。同政策が導入されると、同国の毛皮産業がほぼ停止することになる。欧州では、動物福祉団体からの訴えや消費者の意識の高まりを受け、毛皮離れが進んでいる。
毛皮牧場閉鎖は、同国少数政党の自由党が掲げていた政策。ノルウェーでは、2017年9月10日から11日にかけ総選挙(議席169)が行われ、ソルベルグ首相率いる保守党を中心とする中道右派勢力が勝利した。しかし、総選挙前の連立与党であった保守党と進歩党は、総選挙戦で野党勢力と闘うため少数政党の自由党とキリスト教民主党と選挙協力し、最終的に自由党が連立与党に加わることとなった。そのため自由党の政策が新政権の鍵を握ることとなった。
現在ノルウェーでは、キツネやミンクの毛皮農場が約200ヶ所あり年間100万の毛皮が生産。約400名が雇用されている。ノルウェーは、1939年にキツネの毛皮生産のピークを迎え、世界最大の毛皮生産国として2万もの農場が存在していたが、2013年時点でその生産量は世界市場の3%に落ち込んでいる。現在世界最大の毛皮生産国は中国で、世界全体で年間730万枚の生産のうち69%を占めている。ミンク毛皮についても状況は同じで、現在ノルウェーの生産は世界市場7,260万枚の1%に過ぎず、中国が圧倒的な世界最大生産国。そのため、同国での市場規模は3億5,000万から5億クローネ(約50億から約70億円)で、毛皮牧場閉鎖によるノルウェー経済への影響は軽微とみられる。
ノルウェーでは、毛皮牧場は動物福祉に関する厳しいルールの下で運営されてきたが、ついに閉鎖することとなった。動物保護団体Humane Society Internationalによれば、ノルウェーは毛皮牧場を閉鎖する欧州で14番目の国となる。北欧諸国では初。2017年は、アパレル大手イタリアのグッチが本皮の使用を中止すると発表し、ファッション業界の意識の変化を印象付けた。
【参照ページ】Norway to become first Nordic country to ban fur industries
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