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【日本】環境省、中国電力の石炭火力発電所増強計画に対し、計画再検討も必要との意見提出

 環境省は1月12日、中国電力が島根県浜田市で計画している石炭火力発電所増設プロジェクト「三隅発電所2号機建設変更計画」に関し、中国電力が提供した環境アセスメント準備書対して、プロジェクトには高い事業リスクがあり、プロジェクトの再検討をも求める環境大臣意見書を提出した。石炭火力発電を官邸主導で積極推進しようとする中、環境省からは石炭火力発電増強計画に対して非常に厳しい見方が下された。

 日本では、設備容量11.25万kW以上の火力発電所の設置や変更の工事を行う際に、環境大臣は事業者が実施した環境アセスメント準備書に対して意見を述べることができると、環境影響評価法と電気事業法が定めている。今回の意見提出はこれに沿うもの。環境大臣意見が提出された事業者は、同意見を踏まえた上で、法律に基づく環境アセスメント書の作成や手続が要求される。また、気候変動対応に重きを置く環境省と、石炭・原子力発電に重きを置く経済産業省では、2016年2月に両大臣の間で、2030年度の電力事業分野からの排出係数を0.37kg-CO2/kWhに抑えることで合意に立っている。同目標が達成できないと判断される場合には、環境省が施策の見直しを提起できることにもなっている。

 今回のプロジェクトは、既存の石炭火力発電所の設備容量を既存の400MWから1,000MWに増強するもの。燃料の一部では、木質バイオマスを混焼し、気候変動への配慮も見せている。中国電力は、2018年11月には工事を開始し、2022年11月から運転開始を目指していた。

 中川雅治環境大臣は、意見書の中で「諸外国では石炭火力発電及びそれからの二酸化炭素排出を抑制する流れがある」「海外では一部の金融機関や機関投資家等がこのような資産を座礁資産とみなし、投融資を引き揚げる(ダイベストメント)活動や、保有株式等に付随する権利を行使するなどにより投融資先企業の取組に影響を及ぼす(エンゲージメント)活動も見られる」と指摘。中国電力に対し、同プロジェクトを実施する場合には、既存の低効率火力発電所の休廃止・稼働抑制や、天然ガス火力発電所の設備更新による高効率化等が前提になるとの立場を示した。また、石炭火力発電事業のリスクが極めて高いことを自覚するよう要求。2030年度の二酸化炭素排出量削減目標への具体的な道筋が示されないままではプロジェクトを容認できないとし、事業そのものを再検討することも必要だと踏み込んだ。

 木質バイオマスの混焼については、一定の効果はあるものの、実施に向けては、使用する木質バイオマスについては国際的な森林認証の取得、調達段階における二酸化炭素排出量の把握等総合的な評価の実施が必要だとの考えを示した。

 一方、経済産業省に対しては、「(中国電力は)現時点において単独では目標達成の蓋然性が低いため、目標達成に向けた道筋を明確化させた上で、確実に達成するよう指導すること」と厳しい意見を盛り込んだ。

【参照ページ】三隅発電所2号機建設変更計画に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

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