国連の諸機関が、国連持続可能な開発目標(SDGs)実現に向けたビッグデータ活用を模索している。2017年秋頃から、国連内外の関係者のトレーニングや、データハブ構築等のイニシアチブを開始した。
トレーニングは、イタリア・トリノに本部を置く国連システム・スタッフ・カレッジ(UNSSC)が、米シンクタンク型NGOのData-Pop Allianceと連携し実施している。Data-Pop Allianceは、米ハーバード大学人道支援イニシアチブ、米MIT Media Lab、英ODI(海外開発研究所)が共同発足したシンクタンクで、ビッグデータを用いた調査、キャパシティ・ビルディング、コミュニティ・エンゲージメントを開発している。同トレーニングは、国連諸機関のスタッフや国外外の開発関係者のデータ・リテラシー向上が目的。学習プラットフォーム「Big Data & Sustainable Development Open Learning Hub」を通じ、2017年11月から2018年9月半ばにかけ計8回のオンラインコースを提供する。第1回のテーマは「ビッグデータに関するガバナンス、透明性、政治」で、今後は「気候変動」「シチズンデータとモバイルデータ」「ジェンダー平等」「パブリックヘルス」「緊急支援」「データ収集とそのギャップ、機会」「データによるストーリーテリングとビジュアル化」をカバーしていく。オンラインコースは、プラットフォーム上に登録を済ませた人なら誰でも受講できる。
2018年からは、オンラインコースに加え、対面トレーニング「Leveraging Big Data for Sustainable Development」を提供。3日から4日間をかけ、フランス語では3月上旬にセネガルのダカール、英語では3月下旬にタイのバンコクで研修を行う。米ヒューレット財団が、政府や企業の専門スタッフに対し受講費用を免除するフェロープログラムを用意する。
ビッグデータ活用の2つ目は、国連統計部とGISソフトウェア会社ESRIが進めるSDGsデータハブの構築。データハブは、各国政府の統計当局と連携しSDGsの状況と地理情報を可視化するグローバルレベルの公開データベース。同コンセプトは、2017年11月に開催された第5回グローバル地理空間情報マネジメントに関するハイレベル・フォーラムでも賛同された。
ビッグデータ活用の3つ目は、ビッグデータ利用におけるプライバシー保護。Data-Pop AllianceのEmmanuel Letouzé氏とDavid Sangokoya氏は、英ボーダフォン社会・コミュニケーション研究所と協働で、12の行動計画「How to use Big Data」を発表。データの暗号化や、法的なアクセス許可を要するデータセンターでのデータの分散保管等を提唱している。
【参照ページ】UN Launches Initiatives to Unleash Big Data for Sustainable Development
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